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2024.07.25

【キタコレ!】伊藤桃連載vol.50 アルプスの山々を走り抜ける夜行列車、その名も特急「アルプス」!

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真夜中の24時に新宿を出発。きらめく都会の夜を駆け抜けて、目覚めればそこはアルプスの山々がそびえる長野県…。この夏、そんな魅力的な夜行列車が“復活”しました。その名も特急「アルプス」!

今でこそ定期運行をしている夜行列車は「サンライズエクスプレス」だけになってしまいましたが、かつては数々の夜行列車が日本中を駆け巡っていました。そのうちの一つが、急行「アルプス」。名前の通り、北アルプスへ向かう登山客に親しまれていた夜行列車でしたが、2002年には廃止。そのあとを継いだ「ムーンライト信州」も2018年に廃止と、長らくその座は空いたままでしたが…。この夏、臨時列車ではありますが衝撃の復活を遂げたのです。あまりの大人気ぶりで発売から約1分で完売と大人気の列車でしたが、今回私も乗ってまいりました。

出発は金曜日の夜、23時58分。新宿の駅構内は“華金”で飲んだ帰りの人々でガヤガヤとにぎやかな様子でした。そんな中、出発が近づきホームへと向かうと、これからの旅立ちにそわそわと賑わう人々の姿があります。みんなが久々の「アルプス」の“登場”を、首を長くして待っているようでした。

改めてこの「アルプス」は新宿を出発して、立川、八王子と停まり、その次は長野県に入って松本、信濃大町と停車して白馬まで向かいます。お値段は新宿から白馬までだと乗車券、指定席券を合わせて8,050円。9両編成と座席も多くあり、グリーン席があるにも関わらず即完売とは、その人気の高さがうかがえます。ちなみに運行日は、7月12日、8月9日、9月13日、20日の4日間。なので、今からでも乗車することは可能です。

さて、やってきた列車は普段特急「踊り子」にも使われているE257系です。

大スターの登場さながら、ホームの熱気も最高潮!

車内の様子はこちらです。窓際の座席にはコンセントがついているのがありがたい。自動販売機や車内販売はないので、飲食物はあらかじめ購入する必要があります。

そして列車は定刻通りに出発!!

まずは、まだまだ明るい新宿の街を抜けて中央線を走っていきます。帰路へと向かうために多くの人が待っているホームを横目に、旅へと向かう高揚感。これもまた、夜行列車の醍醐味です。

24時43分、夜明け前最後の停車駅である八王子駅を出発すると、車内放送が流れて明かりがうっすらと暗くなりました。この特急「アルプス」は寝台列車ではないので、リクライニングできる座席にて就寝します。完璧に暗くなるわけではないのと、車内は乾燥しているため、アイマスクとマスクを持っていくのがお勧め。

ちなみにこの車内放送では「八王子から松本までは停まらないので、乗り過ごしてしまった場合は、その分の運賃が必要になります。」という世にも恐ろしい忠告も…。寝過ごしてしまい目覚めたら松本にいる、というのはなかなかインパクト大です。まぁ、そんな方はいなかったと思いますが。

減光もしてすっかり静かになった車内ですが、私は大興奮であまり寝られませんでした。街灯の灯りすらもまばらな静かな山道、そして真夜中の見知らぬ街明かり…列車はゆっくりと中央線を走っていきます。

なかでも、忘れられないのは山梨県にある勝沼ぶどう郷駅手前の夜景。ふっと車窓を見ると、そこにはまるで星空のような夜景が広がっていました。この辺りは甲府盆地にあたるため、その夜景を一望できるのです。淡くきらきらと輝くその様あまりにも美しくて、ただただ見とれていました。

それでも、夏の朝は早い。4時を回ると、だんだんと空が白んできました。そして遠くには雄大な山々が連なっています。北アルプスの山々です。

5時3分、朝一番の停車駅である松本駅に停車しました。

終点の白馬駅まで行く人が多いのかと思いきや、案外この駅で降りていく人も多い。ちなみに、この特急「アルプス」のダイヤに合わせて、アルピコ交通では終点・新島々駅までの快速列車も運行します。この新島々駅は上高地への玄関口なので、やはり登山客の利用も多いのでしょう。

電光掲示板には可愛らしいアイコンも。遊び心がたまりません。

この松本駅を出ると、屈指のローカル線・大糸線へと入ります。お次の停車駅・信濃大町駅は人気の立山黒部アルペンルートへの玄関口でもあり、まさに山々が迫るほど近づいてきました。すっかり空も明るく、夜行列車ではなく、のんびりローカル線の旅の味わいです。山道を走り、時に湖の幻想的な姿に心奪われ、雪国ならではのスキー場が見えてきたら終点の白馬駅はあと少し。

6時22分、約6時間半の旅を経て朝の白馬駅に到着いたしました。標高697m、スカイツリーよりも高いところにあるため少しひんやりとした風が、心地よい。

列車に乗っていた人がわっと降りてきて、静かな白馬駅があっというまに賑やかな様へと変わりました。

ここから登山に向かうもよし、避暑地を観光するもよし。そして私のように、また旅をするもよし。

今回この臨時特急は「夏の信州観光キャンペーン」の一環で走ることになりました。鉄道ファンの方ももちろんそうではない方も、今や貴重な夜行列車に乗車して、信州を朝から満喫してみてはいかがでしょうか。

今回の探索人

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