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ヒマつぶし情報

2022.05.26

【キタコレ!】マキタジャーナルスペシャル対談!~芦田太郎(テレビ朝日 演出・プロデューサー)×槙田紗子~

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槙田:初めまして。槙田紗子と申します。振付師とアイドルプロデュースをしています。


芦田:ネットで槙田さんの記事拝見しました。


槙田:ありがとうございます!マキタジャーナルはわたしが会いたい人に会って聞きたい事を聞いていくという贅沢すぎる企画でして、今回は是非芦田さんにお話伺ってみたいと思い、お声がけさせていただきました。貴重なお時間頂きありがとうございます。


芦田:いえいえ。よろしくお願いいたします。


槙田:早速質問していきたいと思うのですが、テレビ業界を目指したきっかけを教えてください。


芦田:僕一人っ子なんですけど、家で必ず3人で見なきゃいけない番組があって、それが『めちゃ×2イケてるッ!』と『ダウンタウンのごっつええ感じ』だったんですよ。


槙田:へえ〜!決まりなんですね!


芦田:暗黙のルールみたいな感じですね。高校生になると帰りが20時越える時あるじゃないですか。そういうときは必ず事前に連絡するんです。


槙田:素敵なご家族ですね。


芦田:うちの親父が哲学者なんですけど。物事を見る視点が結構独特で、テレビを作ったことなんて一回もないのに、「おい太郎。今ナイナイの岡村はディレクターから指示が出て困ってるんだ。」とか言うんですよ。


槙田:えー!


芦田:それが当たってるかはわからないですけど、小学生ながらに「テレビって出てる人が面白いのは当たり前で、それを裏で演出してる人がいるんだ!」と理解したんです。それが大きな笑いや感動を生んでいるということに子供ながらカタルシス的なものを感じて。学校でも前に出るのが好きなタイプだったので、ごっつええ感じに影響されてコントを書いたり、卒業式で学年全員を巻き込んでサプライズを計画したりしてました。なので、人の感情を動かすことをやりたい。テレビが好き。ってのがベースにあった上で、就職活動のタイミングでテレビを作るっていう方向で勝負したいなと思ったんです。ただ、僕、就活は結構こじらせてて。


槙田:そうなんですか?


芦田:僕、1回テレビ朝日を辞退してるんです。


槙田:え!?


芦田広告代理店と総合商社と、テレ朝で悩んで、最初テレ朝を辞退してるんです。なんでかっていうと、「就職してもお前はまた好きなことやんのか」って親父に言われたんです。僕、ずっとサッカーやってたんですけど、一応勉強も頑張ってたつもりで。でも親父からすると頑張ってなくて。「お前はいつになったら勉強するんだ」って言われ続けてきたんですよね。そのコンプレックスというか引き目は結構あって、広告代理店とか総合商社に行って、いわゆるビジネススキルみたいなものを身に付けて、自分の感性とか、人間性以外の武器になる知識やスキルで勝負できる人になるべきだなって。


槙田:なるほど。

芦田:正直テレビ局のバラエティ制作をしていても英語はできるようにならないし、もちろんMBAや簿記などの資格も何も持ってないです。僕は今、テレビ朝日のディレクターっていう肩書きが無くなった時に、何も武器がないんです。それは、どうなんだろう?って当時は思っていて。だったら、自分が元々持っている人間性や感性以外のビジネススキルを付けられる場所に行くべきだなって。で、総合商社に行こうとしてたんです。


槙田:テレビ局とはかけ離れた世界ですよね。


芦田:はい。でも、当時のテレ朝の人事が温かい人たちで、僕を止めてくれたんです。紆余曲折ありながら迷った末、やっぱり新卒で入る企業は楽しいって思える好きなことを仕事にしないと続かないんじゃないかなと思ったんです。極論、何億円という案件を受注したり成立させて日経新聞の見出しを飾る総合商社よりも、好きな芸人さんと「落とし穴どこで落とす?」って話し合って、それで給料をもらえる仕事の方が自分は楽しめそうだっていう理由で、テレ朝に戻ってきました。 

 


槙田:その後、実際にテレビ業界に入られて、最初はADさんになるんですよね。


芦田:最初はADです。


槙田:すごく過酷だと思うんですけど。


芦田:そうですね。当時の話として聞いてほしいのですが、1年目はほとんど休みがなかったです。


槙田:ほとんどですか?


芦田:そうです。でも、分かってて入ったので辛くはなかったです。


槙田:そういうのが待ってるんだっていうの前提で、そこに。


芦田:だって、総合商社、広告代理店など素晴らしい会社に迷惑をかけて辞退してテレ朝に入社してますから。そこで辛いとか嫌だなと思ったら、失礼だし、情けないっていう自分にかせがあったので。肉体的に眠くて大変とかはもちろんありましたけど、これを乗り越えれば自分の好きな番組作れるからいいやって思ってました。


槙田:芦田さんは、今、プロデューサーと演出家という肩書きですよね?


芦田:そうなんです。僕は両方やってます。どちらかだけの人ももちろんいます。


槙田:プロデューサーさんは、作品を作るっていうこととは、また違うんですか?


芦田:基本的にPという肩書きの方は、編集はしないです。プロデューサーの仕事の一つは、予算の管理です。例えばディレクターは面白くすることが仕事なので、やりたいことを言う。それを受けてPは「それ、予算オーバーしてるからロケ場所変えられない?」とか調整していく。あとはキャスティングもプロデューサーの重要な仕事です。番組のナレーションやテロップや演出がコンプライアンスに違反していないかチェックすることも仕事ですね。芸能事務所に向き合って、演者さんを口説いたり、マネージャーさんにディレクターの企画の意図を伝えたり、ときには謝ることも多いので、人当たりとか対人能力が求められますね。

槙田:プロデューサーと演出家で使う脳みそが全然、違いそうですね。


芦田:違います。でも、僕は好きで両方やってるんです。やっぱり、番組を作る上で予算のことも知っておきたい。この番組は全体予算がいくらで、このタレントにギャラ幾ら払ってるのか、編集費、美術費はいくらまで使えるかなど…把握しておきたいんです。

 また、自分が演出で入ってる番組は、基本キャスティングはプロデューサーに任せるんですけど、要所要所で自分がやることもあります。例えば、『あざとくて何が悪いの?』の年越しスペシャルに佐藤健さんが番宣なしで出てくれたんですけど、まさにダメもとでどうしても出演して欲しくて、自分でほぼ面識のないチーフマネージャーさんに電話しました。


槙田:えー!


芦田:極論で例えると、スピルバーグから、直接、電話かかってきた方が良くないですか?(笑)プロデューサーに任せるより、演出家の自分が直接話すことで、熱量や演出の意図がより具体的に伝わるんじゃないかなと…


槙田:確かに嬉しさが全然違いますね!


芦田:そう思ってて。そういう場合もあります。


槙田:この立場だからこれをやるということではなく、柔軟にやられてるんですね。


芦田:僕はそうですね。自分の番組のことは全部知っておきたいっていうのがあるかもしれないです。


槙田:企画が通ると新しい番組ができると思うんですけど、その企画を提出するのは決まったタイミングがあるんですか?それとも、自分が思い浮かんだときに自由に提出していくんですか?


芦田:一応、企画募集のタイミングがあるんです。でも僕は、面白い企画が思い付いたら、募集期間じゃなくてもその都度出してます。『あざとくて何が悪いの?』もそうでした。


槙田:それで、この企画いいね!となったから、番組ができたんですね。


芦田:そうですね。思いついたのが2019年の春だったと思うんですけど、田中みな実さんが写真集を出す前ですね。テレビを通して見てて、この人めちゃくちゃ面白いなと思って、この人の魅力を100%引き出せる番組をやりたいなあと言うのが出発点です。また、女性の支持率が上昇している最中だったんで、カルチャー的にもヒットするんじゃないかなって。で、彼女じゃなきゃダメな企画ってなんだろうって考えていく中で、『あざとい』っていう言葉にスポットライトを当ててやりたいなって思ったんです。ただ、この番組に関しては運よく企画が通りましたが、通らずに終わった企画もいっぱいあるので、時と場合によりますよ。


槙田:そうなんですか。


芦田:ありますよ、全然。


槙田:何もないところから生み出す作業じゃないですか。どういうところからアイディアを得ていますか?


芦田:僕は企画の着想には方向性が二つあると思ってて、まず一つは”演者発”。さっき言った、田中みな実さんの『あざとくて何が悪いの?』のように、自分がテレビ見てて、この人面白いなと思ったときに、自分だったらこうするなとか、この番組のこの人を生かし切れてないなとかって、思うところから着想が始まるパターンが多いです。

 田中みな実さんの場合は、当時は、ぶりっこキャラで、プンプン!みたいなわかりやすいキャラクターで笑いを取ったりしていたんですけど、もうそのフェーズはいいんじゃないかなって…いわゆるポジショントーク的な感じで、女性芸人が、かわいいからって調子乗んなよ!って言うくだりですね。それはそれで面白いんですけど、僕は田中みな実さんの面白さを引き出す演出はそれじゃないだろと思ったんです。

 そんなときにある番組で、彼女がすごくロジカルに冷静に、男の人に好かれるためにこうやってたって話を喋ってたんです。で、当たり前ですけどめっちゃ説得力があったんです。だったら、モテのテクニック論的なことを真面目にテレビで話す番組を作って、彼女に、それを語らせる受け皿をつくってあげればいいんじゃないって、どんどん逆算していくんです。


槙田:すごい!


芦田:じゃあ、そのワードって何だろうって考えたときに、ぶりっこってやっぱ古いじゃん。小悪魔もちょっとなぁって思ってて。当時、あざとメークみたいな言葉が女性誌にちょいちょい出始めてた頃なんです。それを、たまたま目にして、『あざとい』っていいなって。


槙田:なるほど。


芦田:おそらく、いまだに広辞苑的には、あざとい=悪口的な言葉の定義になってると思うんですけど。


槙田:本当に『あざとくて何が悪いの?』きっかけで、「あざとい」が褒め言葉になりました。


芦田:そう。彼女が、タイトルを体現してると思うんです。あざとくて何が悪いんですか?人を幸せな気持ちにしたり、喜ばせたりすることの何がダメなんですか?って、彼女が言うことによって、説得力が生まれるじゃないですか。これじゃんと思って。そういうある意味挑発的なタイトルが思い付きました。

 でも、田中みな実さん1人で番組はできない。なんかひりひりする、我々にしかできない組み合わせって何だろうって考えたら、弘中しかいないなって。僕は彼女が入社した当時からずっと見てて、彼女の肝の座り方と、言葉の切れ味みたいなものって、なかなか民放アナウンサーにいないタイプだと思っていたので。この2人並んだらワクワクするなと。


槙田:最初、並んでる姿を見たときにびっくりしました。


芦田:ひりひりしますよね。


槙田:この2人並ぶんかー!って思いました。


芦田:で、キラキラ女子会じゃなく、男性も楽しめるバラエティにしたいなと言うのと、斜めの目線も入れる人がいないと平等じゃないなと思ったので、それなら山里さんしかいないって。それが、演者発の作り方です。

 で、二つ目が企画発。現在は特番になったんですが、『あいつ今何してる?』という番組が、まさにそれで。企画を思いついて、その後にMCや出演者を考えていくパターン。


槙田:その企画はどうやって思いついたんですか?


芦田:『あいつ今何してる?』は、僕が、高校の同級生の結婚式に行ったときに、コダピーっていう同級生の話題になったんです。ちょっと個性的な男子で。コダピーが今何をしてるかっていう話題になって、仙台にいたとか、謎の目撃情報だけあるんです。Facebookで検索しても出てこないし、誰も答えを知らなかったんですけど、めっちゃ盛り上がったんです。


槙田:めっちゃ気になりますね。


芦田:で。家に帰って、当時付き合ってた彼女にそれを話したんです。コダピーの話で盛り上がったんだよねって。そしたら彼女に、それ企画書にすればいいじゃんって言われたんです。


槙田:彼女さん、すごい!


芦田:確かにそれは、みんなが思う普遍的な感情だから、もしかしたら色んな人に当てはまるかもしれないって。芸能人が、熱を持って喋ってくれてたら、聞いてる人も気になるんじゃないかな、もはや他人だけど。そう思って企画書を書いたんです。


槙田:日常の中で、小さなきっかけから広げていくみたいな作業ですね。


芦田:そうかもしれないです。やっぱり、日常から拾っていかないと思い付かないですもん。面白いこと考えようって思っても、思い付かないじゃないですか。


槙田:思い付かないです。


芦田:だから、インプットすることが大事だなと思います。


槙田:芦田さんは、普段からどういうインプットをされてますか?


芦田:先端のものに触れるっていうことは大事だと思うんで、コンテンツをたくさん見てます。今、Netflix、AmazonPrime、AppleTV、TELASA、U-NEXTに入ってて。


槙田:コンプしてますね。


芦田:映画やドラマも見ます。バラエティに直接は繋がらないんですけど、全部切り口だと思うんです。例えば、今『セックス・エデュケーション』のシーズン3を見てるんですけど。あれって、学園ものっていう普遍的なものに、性教育や思春期の性の葛藤を掛け算してるんですよね。しかもそれをウエットないやらしい話題性とかを一切狙わず、すごくコミカルかつポップに描いてるわけです。しかも、そこにさらにリアルな思春期ならではの心の葛藤も描けていて… こういう性をテーマにした学園ドラマって日本版として出来ないのかなとか見ながら考えますね。日本でやるとしたら、どういうふうにコンプラを回避できるのかな、バラエティでもできるかもしれないな。そういうことを考えながら見るんです。


槙田:なるほど。私は今、Hey!Mommy!というアイドルをプロデュースしているんですけど、もし今、芦田さんが、無名の新人アイドルグループを好きに使っていいよって言われたら、どんなことをされますか?

芦田:まず、企画を考えるより先にその子たちをめっちゃ見ます。どんな子なのか知りたいので、めっちゃ質問して0歳からの生きざまを聞きますね。

 やっぱり、企画にはめることは簡単なんですけど、企画優先にしすぎると、その演者さんの個性が死ぬことが多いんです。その企画にアジャストするだけになってしまうから。田中みな実さんとか、弘中さんも、その能力を逆算して企画を当てはめているから、番組で輝けるわけじゃないですか。世の中全ての人たちの中で、絶対同じ人はいないので、まずは誰にでもあるはずの個性を引き出す。そこに企画を当てるっていう感じですかね。


槙田:確かに。自分に当てはまることのほうが、たとえ役だとしても輝くというか。かけ離れたことをやるよりも、魅力を発揮しやすいですね。


芦田:と、思います。その人にしかできないことや、その人にしかない魅力って、絶対あるんで。それを見つけてあげるっていうのが、プロデューサー・演出家の仕事なんだと思います。


槙田:めちゃめちゃ勉強になります。ありがとうございます。


芦田:いえいえ。そんな。


槙田:今って、若い人がテレビを見なくなってるとかいうじゃないですか。


芦田:見てない感じがしますね、本当に。


槙田:実際にネットのコンテンツが充実している中で、テレビならではの強みは何だと思いますか?


芦田:僕も今、葛藤中なんです。特に今の30歳以下の人たちは、「テレビを見る」って感覚がないんです。コンテンツを見る選択肢のうちの一つっていう感覚でしかなくて。テレビ受像機で見るっていう発想が、めちゃくちゃ薄れている感じがします。「あざとくて」で定期的に、大学生とか20代前半の男女にヒアリング取材するんですけど、大学生で1人暮らしをしてる人はテレビが家にない人が多い印象です。


槙田:え!そうなんですか!?


芦田:一概には言えないと思いますが、聞いてる限りは…。


槙田:家にテレビがないんですか?


芦田:ないです。なくても生活が成立するんですよねきっと。なぜなら、彼女たちの生活って、スマホで完結できるし、一体化しているので。


槙田:ほー、、、


芦田:「なんで木曜11時に『アメトーーク!』を見なきゃいけないんですか?」っていう感覚なんだと思います。なんでテレビ局が決めた時間に見なきゃいけないのか?なんで早送りできない?なんで巻き戻しできない?今、私トイレ行ってたんですけど、みたいな。それがSNSやYouTubeが当たり前にある時代に生まれた世代の感覚なんだなと。

 つまり、テレビのパワーがどうとかって言ってる場合じゃないって、僕はちょっと思ってて。テレビが本当は一番面白い、なんだかんだ視聴者へのリーチ数は一番だと言ったところで、現代の若者のライフスタイルにはなかなかフィットしていかない現実は直視しないといけないし、変えられない。だからまずは、テレビ局として面白いコンテンツを、いかにフレキシブルに見やすい環境に置くかっていうことを考えます。

 『あざとくて何が悪いの?』は本編の見どころを切り出し動画をTikTokで流しているんですけど、SNSをフル活用して、どう若者がアクセスしてくれるかも考え続けています。


槙田:TikTokのおすすめにめちゃくちゃ流れてきます!


芦田:もしかしたら、あれだけで視聴者は満足してる可能性あるんですけど、それを見て面白そうと思ってた人がテレビやTVerに流れてきてくれたらいいなという気持ちです。いかに、スマホだけで生活が完結している人たちに届けるかが大事だし、テレビの力っていうよりは、作ったものをどこに置くかっていうことを、テレビ局全体が考えていかないと。


槙田:そこまで感覚が変わってるんですね。


芦田:そういう人たちに、テレビってすごいぜってテレビで言ってても、届かないので…

 いかにリアルタイムで見てもらえるかも、大事は大事なんですけど、あんまりそこに固執してると、バラエティーは死ぬんじゃないかなと思ってます。

 もちろんワールドカップやオリンピックのような、そのときしか見れない大きなライブイベントはいいと思うんです。あれはまさに、テレビにしかできない最強のコンテンツだと思うんですけど。


槙田:でも、テレビ局さんって、視聴率でいろいろ変わるじゃないですか。


芦田:そうなんです。そこが、すごい矛盾というか葛藤の源泉なんです。今まさにその評価基準が過渡期に差し掛かっていると感じます。現状、リアルタイム視聴率が番組の評価基準の大きな一つであり、ベースであることは変わらないから、視聴率はやはりとらないといけないんです。とらない番組は終わっていくという定説は覆っていないので。

 だけど、日本のトレンドやカルチャーをつくる若い世代は、リアルタイムで見ない人が多くなってきている。一方で、我々の親世代は、自宅でリアルタイムで楽しんでいる方もまだたくさんいらっしゃる。どっちを取るかじゃなくて、どっちも取らなきゃいけないっていうのが、テレビの最も苦しいというか難しい課題だと感じています。


槙田:視聴率の割に、実はネットで若者たちに超見られてたってこともありますもんね。


芦田:そうです。見逃し配信の結果も、視聴率と同じぐらいの評価基軸になっていけば、業界全体が変わっていく気がします。


槙田:そうなんですね。


芦田:プロデュースされてるアイドルの子たちに是非リアルタイムでテレビを見てるか聞いてみてください。


槙田:どうなんですかね。確かにメンバーは、YouTuberさんの動画をめちゃくちゃ見てるイメージはあります。


芦田:そうなんです。例えば30分動画を見たら、だいたい脳みそが満足するじゃないですか。だから、今バラエティーもどんどん短尺化していますよね


槙田:言われてみれば確かにそうですね。


芦田:『バラバラ大作戦』も、実尺では15分しかないですから。


槙田:15分〜30分が多いですね。


芦田:そのくらいの尺なら行き帰りの電車で見れますもんね。おそらく3時間スペシャルとか、若い人からしたらスペシャルっていうより「長い」っていう感覚なんじゃないかなと。


槙田:昔のほうが、何時間スペシャルって、もっとイベントとして盛り上がってましたよね。


芦田:頭からお尻まで3時間、見続けてる人ってメジャーじゃない気がします。みんな忙しいですよね?家帰ってやることもあるし、仕事もある。その隙間時間に楽しむコンテンツが増え過ぎて、娯楽も多様化、細分化してきている。


槙田:コンテンツ増え過ぎか。確かに。


芦田:趣味が、細分化してるんです。遊べるものがあり過ぎて。


槙田:本当、そうですね。


芦田:その影響で、国民的なグループが生まれづらい世の中になってきていると感じます。例えば、老若男女名前を言えるSMAPや嵐、安室奈美恵さんみたいな人が生まれづらい。『Mステ』出て超絶ブレイクというより、みんな視聴者それぞれがSNSやYouTubeで見つけてきちゃう。


槙田:はい。それこそアイドルとかも、今、本当に増え過ぎてて。

スターが出てこないなっていうのはあります。


芦田:圧倒的なスターが生まれづらいですよね。


槙田:細分化されすぎてるってことなんですね。


芦田:そう思います。でもある意味、チャンスはいっぱいあると思うんです。だって、いろんな所で熱狂が生まれるわけで、その数の分チャンスがある。


槙田:すごい、本当にそうだなって思いました、今。


芦田:国民的スター、生まれづらい説。


槙田:生まれてほしいですね。


芦田:この環境で生まれたら、本当のスターだと思いますね。


槙田:では最後に、今後挑戦したいこと、今後やってみたいことを教えていただけますか?


芦田:テレビ局で番組作らせてもらってますけど、テレビ受像機でどう見せるかっていうよりかは、何を使って、どうたくさんアクセスしてもらうかっていうことをひたすら考えてます。

 例えば、SpotifyやApple Musicで、番組が使ってる楽曲をプレイリスト化して毎放送Twitterとインスタで発信するとかも、その1つです。「この番組って音楽いいよね」って、音楽に興味持って見てくれる人だっていると思うので。

 あと、田中みな実さんと弘中さんがスタジオで着ている服はどこのですか?って問い合わせが結構くるんです。それを受けて、毎回オンエア終わりで、Instagramのストーリーに彼女たちが着てる服のブランドをタグ付けして上げるようにしてます。ドラマの出演者も。そういう取り組みとかも、直接視聴率には繋がらないかもしれないですけど、マルチメディア展開として大事だと信じてやっています。5月22日に最終回を迎える第4弾のあざと連ドラの主題歌を川谷絵音さんに作ってもらったのも、その取り組みの一つと言えます。

 それこそアイドルの方たちが、「出たい番組」ってSNS上で発信したり、マネージャーさんを通して逆オファーしてくれたり、そういうことが増えてきていて、そこから番組を知らないアイドルファンの人が興味持ってくれたり。そういう、全方位的なコンテンツをつくるっていうのが、今の僕のライフワークみたいになっていて、すごく楽しいんです。視聴率取れればいいやじゃなくて、カルチャーに根差す番組をもっと作っていきたいです。


槙田:めっちゃ楽しみにしてます!


芦田:頑張ります。


槙田:本日は以上になります!たくさんお話聞かせていただきありがとうございました!


芦田:とんでもないです。ありがとうございました。

(了


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