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ヒマつぶし情報

2022.02.17

【キタコレ!】スペシャル対談!~マキタジャーナルスペシャル対談!岩下和了(岩下食品株式会社 代表取締役社長)×槙田紗子~

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槙田:この企画はとにかく私が会いたい人にお会いして、お話を伺うという企画なんですけど、最近アイドルプロデュースを始めたこともありまして、企業のリーダーの方にお話を伺ってみたいなと思い、岩下社長にお声掛けをさせていただきました。


岩下:なるほど。そうですか。


槙田:今日はお忙しい中、ありがとうございます。


岩下:よろしくどうぞ。


槙田:いろいろ聞きたいことを聞いていきたいと思います。


岩下:はい。


槙田:お父様が先代の社長さんをやられていて。


岩下:そう。代々ね。


槙田:会社を継ぐことに対して最初はどう思っていましたか?。


岩下:兄がいるんですけど、兄が継がないと言いだしちゃったから、自分がやるしかないって思っちゃったんだよね。


槙田:お兄さまが継ぐだろうと思っていた頃は、ご自身は別のお仕事をしようと考えられてたんですか?


岩下:何を仕事にしたいか考える前の段階で、兄が継がないって言いだしちゃったから。物心ついたときから、割と兄が自分をしっかり持った人で、父ともあまり合わない感じだったから。

槙田:結構、早かったんですね。


岩下:大学卒業するときに、五つ上の兄が。


槙田:まだご自身は高校生ですね。


岩下:僕は高校2年ぐらいかな。


槙田:お兄さまが継がないことになり、継ぐのは自分しかいないということに対しては、抵抗なかったのですか?


岩下:まだ子どもだから、特にやりたいこともないしっていうのもあったと思うんだけど。自分の自我が形成される前に、そういうものだって思い込んでたところがあった。


槙田:私、15歳から芸能活動をしていて、今28歳なんですけど、就職を一度もしたことないんです。お恥ずかしながら、会社というものの仕組みをあまりよく分かっていなくて、社長さんって、要するにどういったお仕事をするんですか?


岩下:なんなんだろうな。経営っていうのは会社の目的とされてることを実現させるべく方向付けをしていくっていうことなのね。いろんなことの取り決めを行ったり、それからどんな人と働きたいのかっていう、従業員の採用の決定を行ったりということですよね。あとは組織の配置。だからポイント、ポイントで仕事するけど、他の時間って別に何してたって構わないってところもあるよね。

槙田:全体を見て、大事なところを決めていくっていう。


岩下:そう。主に判断ですね。


槙田:岩下の新生姜のイメージって、スーパーに並んでる普通のお漬物とは、全然違うというか、すごくキャッチーだし、まず生姜にこんなにかわいいイメージが付いてるということ自体がブランディングすごいなと思っていて。それって岩下社長のカラーが強いからなのかな?って、見てて思うんですけど。ここの新生姜ミュージアムは、食事メニューや、グッズの一つ一つまで、社長がご意見を言われているんですか?


岩下:僕は割りかし、ここ(岩下の新生姜ミュージアム)については細かいことまで口を出してますね。僕がOK出さないから、ぬいぐるみの顔が決まんないとかね。そんなレベル。だけど、例えば工場の機械の選定とか、そっちのほうが金額が大きくて大事な面もあるんだけど、そっちは割と社員に任せることが多いかな。生産性を上げたりコストを下げたりっていうことは、ある一直線のことなので、そういうところは社員に頑張ってもらおうっていう感じ。だけど、質というか、質感というか。


槙田:クリエイティブなところ。


岩下:クリエイティブな、人の心に直接訴えかけるような分野の事柄はちゃんと目を通したい。僕がやれば全部うまくいくわけではないんだけど、変な方向に行っちゃうと、自分らしさが失われてっちゃうから。社長らしさがある特定の商品の価値につながってるほうが、僕はコントロールしやすいっていうことはあるよね。だから仮に自分が病気になったりして、こういう路線から外れるってなると、だいぶ商品のイメージみたいなものは変質していく可能性はありますね。岩下の新生姜自体はいい商品だと思うので、完全に消えちゃうってことはないと思うけど。


槙田:そうですね。

岩下:それはクリエイティブディレクターが変わったら雰囲気が変わるっていうのと同じようなレベルの話だから、そんなに重要なことではないかもしれないけど、今はこの形で僕はやりたいと思ってます。お客さまと直接通じてお客さまに喜んでいただけるような事柄を提示していくっていう、それが僕のやりたかったことでもあるし、現段階においては会社の経営者の才覚とか才能、技術みたいなものも、実は企業の資産の一つなんですよ。


槙田:確かにそうですよね。


岩下:だからいろんな会社があって、例えば営業力に秀でてるとかコミュニケーション能力に秀でてる社長さん、あるいは自動車の大手のメーカーがかつてはそうであったように、技術者としてとても優れている人が社長やってるっていうケースとか、そういういろんな社長さんの個性がありますけど、僕は割りかしボンボンの生まれなので、あんまりお金儲けっていうところに的絞って動けないんです。それだけだと気持ちが乗り切らないっていうか。


槙田:すごくシンプルな理由ですよね。


岩下:このミュージアムにものすごくやりがいを感じて、楽しくやれてる理由は簡単なんですよ。好きになってもらうのが目的だから、尽くす一方なんだよね。入場料は取ってないけど、手を抜かない。もちろんお土産とか食堂なんかはお金を落としてもらうんだけど、それを目的にやってる訳ではない。とにかくお客さんに喜んでもらうことを主で考えてる。

その前段には、お客さまが先にSNSで宣伝のような形で、岩下の新生姜好きだっていうことを散々言ってくださるでしょ。それに対して感謝というか、逆にいうと居心地の悪さもあって。


槙田:そうなんですか?


岩下:それは、お金を頂戴するようなポジションにあるのに、さらにお世話になってるってことがね。


槙田:無償で宣伝してくれて。


岩下:テレビコマーシャルを放送したり、こういう芸能の方とのお付き合いがあるときは、きちんとお金が発生するじゃないですか。

一般のお客さまは影響力こそ、それほどではないにせよ、今のSNSって一言でも載せるということは、ご近所の人や友人に話しかけてるようなつもりでいて、実は全世界にオープンになってることだったりもするから。その環境の中で好きだって言い続けてくださってることに本当に感謝していて、何らかの形で恩返しをしていかなければと。人間としてそういうことを当たり前だと思ってしまったら駄目になると、僕は思ってる。

槙田:社長とお客さんは素敵な関係性ですよね。


岩下:何をして恩返しをしていくかっていうと、それは割引することでは多分ない。そうではなくて、好きだって言ってくれた人たちを裏切らないような行動をとっていくっていうことだし、さらに喜んでいただけるように、より楽しんでもらえるようにしていくことが大事だと思ってる。

このミュージアムなんかもそういう姿勢で作ってる。Twitterはお客さまがどんなことを喜んでくださってるのかっていうことが、ある程度見えますよね。そこにターゲットを絞れば、次はこんなことやったらもっと喜んでくれるだろうって考えられる。外れるときもありますけどね。


槙田:かなりお客さんの意見を反映しているんですね。


岩下:面白いですよ。例えば、ミュージアムに入ってだいぶピンクだなって思われたと思うけど、最初はそこまでピンクでもなかったんだよね。なんだけど、お客さまが「一面ピンクの世界」っていうふうに言ってきたんで、そういう情報を基によりピンクのかわいい形にテイストを変えていこうと。

 

槙田:本当に入った瞬間のインパクトが凄かったです。


岩下:椅子とかもね、もうちょっとシックだったんですよ。


槙田:今って企業側がPRでお金を払って、発信力のある人にこれを載せてくださいって頼む時代じゃないですか。その時代の中で、PR案件でも何でもなく、勝手に商品を好きな人たちが盛り上がっていってくれるって、一番ベストな形ですよね。


岩下:そう、本当に。ありがたいことだなって思いますね。

槙田:一時期はテレビCMとかもすごく放送されてましたけど、それってすごくお金がかかることじゃないですか。


岩下:うん。


槙田:何なら、その時代よりも今のほうが売り上げって伸びてたりとかするんですか?


岩下:何とも言い難いんだけど、あの時代は本当によく売れる時代でね。その後の、物が売れなくなったデフレ時代の波にこの会社は結構巻き込まれましたし。漬物っていう分野自体が厳しいものになっちゃったから、この会社は漬物っていうイメージから距離を置くことで再生を図ってるっていう、まだそういう段階ですね。あんまり褒められたような状況でもないですよ。


槙田:岩下の新生姜が漬物って言われても、言われてみればそうかって思うぐらい、漬物のイメージがないですね。「岩下の新生姜」っていう物として見てます。


岩下:ありがたいですね。それはずっと狙ってきたというか、この10年かけてやってきたことですね。


槙田:先日、岩下の新生姜をInstagramのストーリーにアップしたら、ファンの方から、新生姜アップすると社長からいいねとフォロワー来るよねっていうメッセージが何件か来たんですよ。


岩下:ああ、そう。


槙田:岩下の新生姜=社長のTwitterぐらいのイメージが今付いてると思うんですけど、ご自分ががんがん表に立って動いていったら商品のイメージ=自分になるっていうことについては、どうお考えですか?


岩下:僕はそれで全然いいと思います。むしろ使えるものがあるなら全部使ったらいいから。例えばうちにはこういう工場がある、こういうパテントがある、こういう技術力がある、こういう人材がいるみたいなことが会社の資産ですよね。

さっき言ったとおり、その資産の中の一つの要素で、うちにはこういう社長がいるってことも使える重要な会社の資産なんですよ。それをうまく活用するってことが大事だと思う。

当社も売り上げ含め結構いろんなものを失った苦しい時期があって、かつて武器だったものが逆に短所になってしまったりなんかして、もう何もないんじゃないかって思うこともあったけど、最後の最後に何があるかっていうと、生きてる自分がいるって思って。


槙田:究極ですね。


岩下:自分にはどういう経験があって、どういう人とお付き合いがあったとか、そういうような事柄たどっていけば、それは全然会社に生かせる。

「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」だっけ。要するにこの身を投げるぐらいの気持ちで向かっていくと、体はちゃんと浮いてくるという、そういうことだと思うんだけど、そうやって戦っていこうっていう考え方。

実はあんまり目立つのが好きではない地味な性格で、人付き合いもあんまり好きじゃない。でも、ポイントポイントで出る幕があったら、そこは使いようがあるなって思ってのこと。


槙田:会社のためですね、全て。


岩下:まあね。そういう言い方もあるけど、会社は自分だから自分のためでもある。僕が持ってる会社だから。何人かでやって、ビジネスパートナーと持ち合っているような状態だと、相手の意見も聞かないといけない。


槙田:そうですよね。


岩下:会社は別人格になるというか。


槙田:確かに。


岩下:でも、岩下食品っていう会社は僕だけが代表取締役だから、経営の意味でも所有の意味でも僕を法人化したようなもんだね。そういうポジションだからやれてるってことも幸せかな。なかなか人の目を気にしてたら、はじけられたりしないかなって思いますね。


槙田:そうですね。


岩下:それは個人でやってることの良さだね。


槙田:自由もありますし、その分責任もすごいじゃないですか。


岩下:まあ、そうだね。


槙田:そんな中、従業員の方々についてきてもらうためのチームの作り方など、社長の中でありますか?


岩下:そりゃ、分かんないな。僕は本当に社員に恵まれてるとしか言いようがない。僕にそんな人間的な魅力があるわけでもないし。でもやっぱり、商品じゃないのかな。うちの商品をいいって思ってくださって、いい物を届けてるっていう自負はあるんじゃないかしら。そこの愛着を持ってくれてるから頑張って下さってるって面は、近年感じることではありますよね。

槙田:自分の仕事に自信が持てる環境って最高ですよね。


岩下:僕は厳しくやってるし、とにかくお客さまの立場で考える。それができてない場合には、いろいろと注意しますよ。でも、それでもついてきてくれてるっていうのは、事実として商品が喜んでもらえてて、特別なものだと思ってもらえてるっていう状況を社員の方たちが感じてくれてるからじゃないかと思うんだよね。


槙田:こんなにお客さまの声をダイレクトに聞ける環境っていうのも、あまりないと思うんですよ。


岩下:そう。ないですよね。


槙田:それも社長のエゴサーチのおかげというか。


岩下:面白いよね。


槙田:社員の方々もTwitterを開けばいろんな声を聞けるっていうのが、消費者からすると岩下の新生姜を食べたら載せようって思うんですよ。他の商品はなかなかそう思わないですけど。


岩下:そうなんだ。


槙田:載せて社長に拾ってもらおうみたいな気持ちも、多少あると思いますし。


岩下:分かんないけど。


槙田:アレンジメニューとかも、自分が新しいのを発案してみたいっていう意欲も生まれますし、本当に全てがいい循環で盛り上がっているなってすごく感じます。


岩下:僕のtwitterが成功例と言ってもらうことがちょいちょいあるんだけど、この間表彰なんかもしてもらって。


槙田:すごい!


岩下:表彰された時も言ったんだけど、僕のTwitterは成功してると思ってないんだよね。何でかというと、インプットとアウトプットのバランスが悪い。インプットが冗談じゃなく人生をつぶすぐらい、、、、つぶすって語弊があるな。


槙田:身を捨てるような。


岩下:そう。身を捨てるぐらい、時間かけ過ぎだから。


槙田:1日何時間ぐらい、携帯見てるんですか?


岩下:1日28時間ぐらいかな。


槙田:そのくらいですよね(笑)。


岩下:インプットがでか過ぎて、その点でいうとうまくいってるとは言えない。ただ、お客さまの声が聞けると、すぐに軌道修正もできるからね。そういう面の良さもある。

 

槙田:マネージャーさんはついてないんですか?


岩下:いないね。ただ、社員全員がマネージャみたいなもんだね。


槙田:そうですね。でも連絡とかはご自身で全部やられる。


岩下:TwitterのDMだと僕が・・・。


槙田:やるしかないですよね。


岩下:前にお客様から、「倉敷市内の岩下の新生姜の販売店を教えてください。全然売ってないんです。」っていうメッセージが来て、僕もそれはほっとけないから、メッセージをコピーして社員に回覧するわけ。1〜2日経って「どこどこの店で売ってますよ。」と回答があったので、それを僕が140字に編集してお返事するの。


槙田:すごい。普通に考えたら社長のやることじゃないですよね(笑)。


岩下:何やってんだろう、こんなことやってていいのかっていうことはある。


槙田:でも、私がもしそのお客さまだったら、社長から直接質問にお答えいただいて返事が来たら、何としてでもたくさん買おう!って思いますけどね。


岩下:そう思ってもらえればね、僕も言うことはないんですけど。


槙田:最後に、既にフットワーク軽く様々なことに挑戦されてると思うんですけど、岩下食品として、今後の展望を教えていただけますか?

岩下:うちは近年Twitterとかを活性化させて、新生姜ミュージアムをオープンした辺りから、岩下の新生姜関連の品物は売り上げが倍ぐらいになってるんですよ。なんだけど、そこに至ってもまだピーク時の3分の2ぐらいの売り上げしかない。


槙田:そうなんですか。


岩下:そう。だから漬物がよく食べられた時代、売り上げピークだった頃くらいまでに復活させないとっていう気持ちは、割と強く持ってる。

お金儲けっていうことへの関心ではないんだけど、そこまでやらないと、まさにおっしゃっていただいたように、社長のマンパワーフル回転で、24時間twitterに張り付いてみたいなことは多分、続かないから。ほっといても商品がきちんと愛され続ける形に持っていかないといけなくて。そのためには、もしかしたらSNSとかはもうそろそろ一段落で、次のステージにいかないといけないかなって思います。まあ、やるんでしょうけどね、手抜きしつつ。


槙田:でも多分、求められたら応えないと気が済まないタイプですよね。


岩下:なるべくね。恩は返すべきと思って。


槙田:本当に身を削って。


岩下:ええ格好しいなんでね。体が続く限りね。いろいろがたも、きだしちゃってるから。


槙田:本当にお体にはお気をつけて。睡眠だけはしっかり取ってください。


岩下:そうですね。ありがとうございます。これで記事になります?大丈夫?


槙田:なります!たくさんお話していただいて、ありがとうございます。


岩下:ろくな話してないけどね。

(了)


追記:この日、私がプロデュースするアイドルグループHey!Mommy!の原明日香・今丘葉月・秋元悠里も同席して新生姜ミュージアムにお邪魔していたのですが、岩下社長にご挨拶させて頂いたところ「ステージあるのでライブしませんか?今からTwitterで呟きますので。」と!

本人たちはまさかライブをすると思っていないので、急遽その場で3人バージョンの歌割を決めて、衣装もないので岩下の新生姜Tシャツを着てミニライブをさせて頂きました。

社長の行動力に感動した瞬間でした。岩下社長、ありがとうございました。


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