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ヒマつぶし情報

2020.10.16

転勤族だけが知る電波の狂った町 〜鉄パイプ編〜

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楽しいことならいっぱい、夢みることならめいっぱい

上品・高級・異国情緒、そんな憧れの土地、神戸

神奈川県の僻地から転勤が決まったとき、僕は輝かしい生活に期待を膨らませていた。


そこはきっと、何から何までお洒落に違いない。

朝は海岸沿いのベランダでクロワッサンの朝食とカフェオレを嗜むのだ。

しかし、そんな優雅なイメージが崩れ去るのにさほど時間はかからなかった。

忘れてた宝物見つけたよ

引っ越し早々に仲良しの店長に誘われ、神戸の某繁華街へ繰り出すため待ち合わせをした。

今でこそ分かるが、東京なら赤羽・大阪なら西成のような土地と言えばお分かりいただけるだろうか。


ハッピーな奴らはここにいる。」


神戸市民には周知の、現代に残るヒッピータウンである。

※その筋とは、、、?

しかし越してきたばかりの僕が知ったことではない。

待ち合わせの場所に着くと、初老の男性が何やらガラガラと音を立てながら歩いている。

どうしたものかとチラリと目をやると、なんと手には鉄パイプ。


一瞬、熱血硬派くにおくんのBGMが脳内に流れる。


次の瞬間、男性が目の前を横切る自転車に向かって地面に思い切り鉄パイプを振り下ろし、聞いたことのない言葉を叫んだのだ。


唖然とする僕。気にも留めない自転車。

また次の自転車に向かってパイプを振り下ろし、難解な言語を叫び続ける男性。


これがゲームの中であれば間違いなく強敵だ。

僕の経験値で敵うはずのないボスキャラである。


もちろんこちらに来て欲しくはない。

しかし、残念ながら僕はこういった特殊電波受信体質なのだ。


僕に気づき、鉄パイプを地面に擦り付けながらこちらへ向かって来る男性。

さながらファイナルファイトの様相である。


僕の前まで来て立ち止まった男性。

目を逸らす僕。

僕に向かって再び難語を浴びせる男性。


耳をすませてみると


「お兄ちゃん髪長いから女か思うたわ、ここ座ってもええか?刺さんといてや。」


と言っている。

無論、解読できたところで理解は到底及ばない。

どうぞ、と僕が答えると男性は隣に腰を下ろし、再び鉄パイプの作業が始まった。


なぜ自転車を威嚇しているのか聞いてみると、

そもそも自転車の走行禁止区域であること、

この街が狂っていること、

仕事(鉄パイプ叩きつけ作業)終わりの一杯が最高であることなどを教えてくれた。


なるほど。男性にはそうせざるを得ない理由があるのだ。

一見、奇行にしか見えないその行動も、

ゴッサムシティで治安を守るバットマン同様、大事な使命なのである。

※お分りいただけただろうか、、、これはビル内の一角である、、、

元気になろうよいっぱい、キラキラしようよめいっぱい

ここに来るまでに薄々気づいてはいたのだ。


数多の注意書きで客を寄せ付けない果物屋の店主

「レモン」という名の得体の知れない魅惑の飲み物

競艇場の正面の道路で寝そべり、天を仰ぐ人々

階段で開催されるワンカップセルフスタンド

100円おねだりオジサン


言い出したらキリがない。

※飲んでみな、飛ぶぞ

神戸=お洒落な街のイメージは引っ越し3日目にして崩れ去った。


そもそも越した先のマンションの近くに海などない。

窓の外は清々しい程の山並みである。

ベランダはあれど蜘蛛の巣だらけで飯など食えない。

そう、全ては幻だったのだ。


さようなら憧れの神戸。

どうぞよろしく、嘘のようなホントの神戸。


僕はこの街、好きになれそうです。

ピザって10回言って

ピザ,ピザ,ピザ,ピザ,,,

じゃあココは?

pizza小僧

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