こんにちは。体質で毎日お腹が痛いです。

　テーマが恋ということなので、私の色欲に塗れし甘酸っぱい色々な意味で酸っぱい恋の話をしようと思います。

　※この記事には、直接的ではない性的表現と、直接的な暴力表現が含まれます。

　皆様も夢ってありますよね。お菓子の家に行って見たい。クラゲを触ってみたい。小さなビンにジャムをひたすら詰めて壁一面に並べたい。世界征服をしたい。些細なものから大きなものまで。私もご他聞に漏れずあります。

細腰の中年男性の革靴で蹴られたいという夢が。これが今回のテーマの「恋」です。

　既に嫌な予感がした方はブラウザバック推奨です。

　細腰の中年男性の革靴までイメージが固まったのは中学校入学頃なのですが、何の影響ということもなく、幼稚園に入る前位から、なんとなくそういう願望がありました。

　恋に恋する乙女の頃から、殴られ蹴られ首を絞められる暴力行為に恋していました。

一途です。

白馬に乗った王子様に迎えに来てもらってお姫様になりたいように、皆が自分にぞっこんLOVEな美少女だらけのハーレムに行きたいように、夢を見ていました。

　谷崎潤一郎だって、来世は女性の靴になりたいと言っていたと聞きます。

会った事ないので本当かは知りませんが。

　先端が四角いやつより、こういう先端が尖ってる革靴の方が好きです。

　具体的には、疲れた細腰の中年(35～43歳)のサラリーマンのデスクの下に転がり、ふみふみされたり蹴られたりするストレス解消グッズになりたいです。でも実際になったら、蹴られていないときが暇すぎて後悔します。

　話が脱線しました。要するにそんな恋であり夢です。そんな夢が叶いました。いや、デスクの下に転がった訳ではないので、夢の一部が叶ったというほうが正しい。端的に言うと殴られてきました。どうしてそんなのが叶うことになったのかは割愛します。

　ちなみに殴ってくれた人は、細腰の中年どころか、太った青年でしたが、疲れたサラリーマンなのでもーまんたいです。

　殴る蹴るのはお腹の前面、側面背面は内臓的な問題で危険なのでできる限り避けること、本気でヤバイかもしれないと思ったときの合図のワードを設定するという、こういう嗜好ではよくある取り決めをして行ったのでご安心ください。

　殴られるまでにも、私の面倒な性癖が災いして、様々な問題や弊害があったのですがこれも割愛します。

　殴られたのは突然でした。

　急にお腹に強い圧迫感が来たのとほぼ同時に、呼吸が上手くできなくなり、その後じんわりとした痛みが腹部を中心に広がりました。膝をつく私。からの視界の端に移る追い討ちの構え。

　しかし、私は幼少期から被虐願望を持つ人間。溜まりに溜まったリビドー、刺される痛みすら快感に変えて見せるわ！！余裕の笑みを湛えます。実際は苦悶の表情だったので心の中だけで笑ってます。

　みぞおち下から頭にかけて、ｵ゛ﾎﾞｯ!!!という形容し難い音が響きました。

　みぞおちの辺りを基点とし、そこから上に空気が全て押し出されたような感覚です。ジップロックを閉めるときに空気を抜くみたいに、私の体から酸素共々空気が失われた。ジップロック、君も私が閉じる時いつもこんな感覚だったんだね。

　さっきのは比じゃない。膝をつくどころか崩れ落ちました。腰が曲がり、膝がまがり、地面に転がる。あまりの痛みっていうか苦しみに悶絶し、漫画でしかやらないと思っていた。お腹を抑えてごろごろ転がるやつを体が勝手に行う。

　痛い痛いと思っているのは最初のうち、ある瞬間気付きました。息が吸えない。呼吸の方法が分からない。というか恐らく横隔膜が下がらず、肺が膨らまない。くっるしい。超苦しい。後痛い。殴られたから当然なのですが。

　次は浅いパンチがやってきました。でもまだ腹筋に力が入らないのでめっちゃ痛い。お腹と背中がくっついた感じがしました。お腹が空いてなくても物理的に押せばくっつくもので、いや実際にはたぶんくっついてないんですけど私の実感としてはくっついてました。

　この時点で、「ああ、私は妄想だけで暴力を語っていて、舐めていたな」と思いました。マゾヒストを名乗るのはやめよう、恋に恋するのは終了だ。これからは真実の愛を求めて生きていこう。終了ワードをとっとと言ってしまおう。そもそもなんでこんなことせなあかんの。わざわざ遠くから金払って来て太った青年のパンチを腹にくらって。交通費だけで最近のダウンロード版ゲームのセールならゲームが買えちゃう。steamでセール中のPortalだったら1、2、追加コンテンツセットを十個以上買えちゃう。どうしてあんな安いの。そんな値段で買えるゲームじゃないでしょPortal。いつも笑っちゃう。

　もうやめようと思ったその時、体が明確に拒否を示しました。なんか禁止ワードを口に出せない。呼吸ができないとかじゃなくて、もう回復したのに口からワードが出ない。通行止めを食らっている。パニックになったけれど超冷静になりました。やばいと思ったが(略)ってこういう時に使うんだな。そう、意思に反して、いやもはや意思も歓喜していたんです。痛い！！苦しい！！！嬉しい！！！！！夢が叶ったのだから、そうなるでしょう？当然のことです。

　私は自分が思っていたよりも耐久力というかもはや精神欲というかもう性欲なんだろうかとにかくちゃんとマゾヒストだったようです。こうして自分の認識と、実際の体験を合わせることによって、自分という存在を確立していくんですね。私は一つ大人になりました。ジョハリの窓が広がるのを感じ、私という存在に近づくことができました。

　もう止めるつもりがなくなったので、ただ痛みに耐えました。妙に冷静な頭で、「私は殴られているからいいけれど、この人は人を殴って楽しいのだろうか？」と疑問に思いました。

　だって殴られている間、私から出る声っていうか音は「ｯｸﾞｧ……」「ｯｯﾂﾞｩ……」みたいな聞いたことないタイプの呻きのみ。少年誌で殴られた人がこんな声出してたらコピペにされるわって感じの音のみ。

　楽しいのか？楽しくないが、殴ると言った手前使命感で耐えているのか？どちらにしても、この人変な人だな。しかし人の趣味はそれぞれなので口にはしません。

　とりあえず連打を受けていたら、そのまま蹴りに移行しました。今思えば殴るのに疲れたのかもしれないですね。私は殴られててボロボロ(元気)だったので知らないですけど。

　蹴られるのは殴られるのとは違う痛みがありました。殴るのが突き上げる痛みなら、蹴るのは穴を開けるような痛みです。足、刺さったかと思った。どうでもいいけどその時に見えた相手の足はやたらすべすべで真っ白でした。太っている疲れたサラリーマンでたっぷたぷの足してるくせに全然毛が生えてない美白で腹が立ちました。なんだよニパ子が大好きな青年のくせに。家にコンビニで売ってるエロ漫画雑誌が200冊くらいあるくせに。見せてもらったけどコンビニで売ってるエロ漫画雑誌めっちゃおもしろいですね。おすすめします。　

　かかとはあかんて。

　重かった。踵落としが一つの技になる訳です。「ﾉ゛ｯ」って声が出たのを鮮明に覚えています。今までの痛みが体に響くやつだったのに対して、今回はもう皆様が想像するタイプの痛いやつだと思います。

　肉が痛い。肉が痛いよ。もうこの時点で転がりすぎて部屋の中心から壁際に移動してました。転がったまま。壁を背にすることになりました。

　そして蹴られました。ほとばしる痛み。次の蹴りが入っただけなのですが、今までと違う。今までは、地面を背にしたりはしつつも微妙に体をよじるなりする範囲があったため、衝撃が逃げていたようです。しかし、今度は壁を背にして地面と壁の直角に挟まりし私の腹部を襲うすべすべの足。

　潰されたかと思った。いや、私がたまたま生きてるだけで潰れてたのかもしれない。体に広がっていく感覚はあまりなく、蹴られた部分にダイレクト、局所的に攻撃がクリーンヒットでした。

　いや当日初めて吐くかと思った。そんな訳でとても満足しました。終わりは突然やってきました。疲れたらしいです。私も疲れきっていましたが、なんだか残念なような安心したような不思議な気持ちでした。

　長々と人が嬉々として殴られ蹴られる話を読んでくださってありがとうございます。

　世の中には色んな趣味があるものですね。とりあえず実際に殴られて、自分の想像がいかに甘かったかを自分に見せ付けられました。すっごい痛いし危険なのでやめたほうがいいです。

　殴られた後初めてアヒージョなるものを食べたのですがおいしいですね。オリーブオイルとニンニクってなんでもおいしくできるんですね。どうしても煮られる必要があるときはオリーブオイルでお願いしようと思います。

　自身に何らかの性癖があると思っている方は、思ったよりも耐性が高くて自分自身に驚くことがきっとあります。そんなときは受け入れてあげてください。私は幸運にも自身の夢を叶えることができましたが、中々ないことだと思います。

　満たされにくい性癖の方々が一人でも安全に満足できる世界になりますように。でも暴力行為は双方同意の上だとしてもやめた方がいいと思います。

　余談ですが、この翌日滅茶苦茶体が痛かったです。腹筋に筋肉痛のような強い痛みがあって、ずっと力が入りっぱなしみたいな感じでした。

　恐らく、殴られ蹴られるときに、反射で腹筋に力が入っていたので、それによって腹筋が一度もできない私のヨワヨワな腹筋が鍛えられたのだと思います。酷使しすぎて筋肉痛って感じでした。

　他にも念願の革靴によるキックを受けた話や、首を絞められゆめにっきみたいな世界に旅立った話がありますが、いつかまたどこかでしようと思います。