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ヒマつぶし情報

2020.10.05

短いけど深〜〜〜いボカロの歴史を、 和田たけあきさんに聞いてみた【VVmagazine73】

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最近、ボカロにハマってます。

正直生まれてこの方アイドルばかり聴いてきたから、最初は聴き馴染みのない声に違和感を感じてました。

なのに、いつの間にか頭のなかでずっとボカロが流れ続けて、今やYouTubeを開けばボカロ、ボカロ、ボカロ。ボカロばっかり出てくる。

で、いろいろ掘り下げてみると、ここ10年くらいに投稿された歴代のボカロPによる名曲が出てくる出てくる。

これからさらに盛り上がるであろうボカロ業界。

振り返るなら今しかないでしょ! ということで、今年でボカロPデビュー10周年を迎えた、和田たけあきさんにお話を聞いてみました。



--ボカロ業界、深いっす! わかりません! 教えてください!(きっぱり)

「やっぱりボカロ業界が本格的に動き始めたのは、2007年8月31日に発売された初音ミクの登場だと思います。僕がボカロを知ったのも、初音ミクってボーカロイドのソフトが出るというニュースを見たときでした。とはいえ、まともに使えるものじゃないだろうなと当時はスルー。それからニコ動でryoさんの『メルト』(2007年12月7日配信)を聴いたとき、こんなに使えるソフトなんだと衝撃を受けました」。


――「メルト」が配信されたころのボカロ業界はどんな感じだったんですか?

「まさに、ボカロが始まったばかりでした。ニコ動でも『ボカロ』ってカテゴリさえなくて、『演奏してみた』のカテゴリにみんな投稿していて。僕はスタジオミュージシャンを目指して上京したばかりで、CDをレンタルするお金もなく、タダで聴けるボカロをニコ動でずっと聴いてましたね(笑)」。


――和田さんがボカロPデビューしたのは2010年4月。実際にボカロ業界に自分も入ると見える世界も違いそうです。

「当時、付き人をしていたギターリストの西川進さんが、『supercell』(『メルト』を制作したryoさんが率いるクリエイター集団)のRECやLIVEで演奏していたんです。そのつながりで、『ミクフェス '09(夏)』に遊びに行かせてもらったとき、今までネット上で聴いてきたボカロとリアルの世界が、自分のなかでガシッとハマって、ちゃんとボカロに挑戦しようと思いました」。


――初音ミク発売2周年のころですね。ライブもしたりと、結構ボカロ業界も変わってそうな。

「一般的には知られていないけど、市民権は得てましたね。まだ再生回数だけで人気度を測れた時代でした。その頃はハチさん(のちの米津玄師さん)とかノッツさん、ジミーサムPさんが注目されていて、ボカロPも一般流通するCDを発売したりと、少しずつニコ動以外の活動の場が広がっていったタイミングです」。


――ほ〜。これだけ短いスパンでもギュッと凝縮してます…。

「さらに業界が変わったのは、じん君がニコ動に投稿した『カゲロウデイズ』(2011年9月30日投稿)ですかね。楽曲だけじゃなくて、小説とアニメ、漫画にもなっていて、それまでニコ動と音楽業界の一部から認知されていたボカロが、『カゲロウデイズ』のおかげで一気に認知度があがりました」。


――うお〜、少しずつボカロの輪が広がっていく…。あと昔に比べて今はボカロPが歌っていることも増えた気がします。

「バルーンさん(のちの須田景凪さん)の『シャルル』(2016年10月12日投稿)で、歌う人は増えましたね。ボカロバージョンを投稿して、数日後にバルーンさんが自ら歌ったセルフカバーのMVを出したんです」。


――なるほど!! 2016年は和田さんが「チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!」を投稿した年でもありますね!

「あのときはやっと僕の時代が来たと思いましたね(笑)。なかなか評価されない5〜6年があったので。ちゃんと数字が出たことで、やりたかったことも実現できて、無理だからやめようと切り捨てる発想もなくなり、自由になれた感覚でした。あと、ボカロで評価されるのは、どういうことなのかがわかるようになりました」。


――というと?

「僕がボカロを作ろうと思ったきっかけにもなるんですけど、ボカロ業界はちゃんと曲の良し悪しで判断してくれる世界だと思ったんです。世間の流行とかアーティストのキャラクター性じゃなくて、楽曲を作品として評価してくれる感覚というか」。


――アーティストがかっこいいとか流行ってるから好きというよりか、いい曲だから好きという感じですかね。

「そうですね。で、2019年以降はというと、中身であるボカロPも見てもらえるようになった気がしています。例えば、syudouさんとか煮ル果実さん、ツミキ君とか。ひとりのアーティストとして、ちゃんとファンがついている印象です。正直理由がわからないんですけど…、2019年以降はボカロだけじゃなくて、音楽業界全体的に、いい曲がちゃんと評価されている気がしていて」。


――ん〜、サブスクが普及してるとかでしょうか?

「あ! それかもしれない! サブスクのおかげで音楽をたくさん聴くから、リスナーの耳が肥えて、曲の本当のよさを露わにしているのかもしれないですね」。


――これからボカロ業界どうなるんですかね〜。

「すでに他の音楽とボカロの境目は無くなっていますよね。ボカロPもよりアーティスト性が強くなって、歌わないシンガーソングライターのような立ち位置となっています。今後はそれがさらに加速していくと思っています!」


――なるほど。めちゃくちゃ勉強になりました! ありがとうございました!


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【プロフィール】

和田たけあきさん

8月3日生まれ。アーティスト。2010月4月にニコニコ動画にて配信したボカロ曲「くらげ」以降、「くらげP」の名義で音楽活動をスタート。代表曲に、「チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!」「キライ・ キライ・ジガヒダイ!」「チェチェ・チェック・ワンツー!」があり、いづれもミリオン再生を達成。

Twitter:WADATAKEAKI

YouTube:



【新譜詳細】

7月29日(水)

mini Album『ピカロス』リリース

「今回の曲は、1月から4月にかけて、インターネットを見て感じた“正義を振りかざして来る人たち”に向けたアンチテーゼを込めた楽曲となっています。インターネットの世界に疲れはじめている人にぜひ聴いてほしいです」(和田たけあき)。

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