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ヒマつぶし情報

2020.06.18

ヴィレッジヴァンガード 百合部への道 出張版! 『繭、纏う』著者・原百合子先生を救ったのは、 まさかのBL漫画でした。【VVmagazine vol.71】

【写真キャプション】

 原先生のお気に入りシーンは2巻の冒頭。制服が横澤洋子に語りかけるシーン。

 これまでたくさんの百合漫画を紹介してきた、「ヴィレッジヴァンガード 百合部への道」。

今回はおひさしぶりの出張版!

 百合部部長であるルミネエスト新宿店の大岩さんが、今いちばん気になっているという漫画家・原百合子先生にインタビューを実施しました〜。

原先生の代表作である『繭、纏う』を描き始めたきっかけは? 影響を受けた漫画は? などなど、たっぷり聞きます。


大岩「今日はオンラインインタビューということで、よろしくお願いします」


「こちらこそよろしくお願いします」


大岩「まずは、漫画を描き始めたきっかけを教えてください」


「実はBL漫画がきっかけなんですが…」


大岩「というと!?」


「デザイン学部がある東京の大学合格を目指して、受験勉強をしていたんですが、あまりにも激務で、うつ病になってしまって。

どうがんばっても心が動かない虚無状態に。

そのときに中村春菊先生の『世界一初恋』というBL漫画に出会って、『あ、萌えた』って心が動いたんです。

そこから立ち直ることができて、デザインではなく、漫画という道もあると気づき、京都精華大学マンガ学部へ進学しました」


大岩「大学進学してから漫画を描き始めるんですね」


「そうなんです。でも漫画を専攻したものの、漫画で食べていけるとは思っていなくて。

教員免許も取ったし、3年生の就活時期はゲーム会社に入ろうと考えていました。

ただ、漫画は描いていたので、誰かに読んでもらえるなら読んで欲しいという気持ちはあったので、出版社へ持ち込みに行っていました。

そのひとつに月刊コミックビームさんがいらっしゃって、拾っていただいたんです」


大岩「どんな作品を持ち込んでいたんですか?」


「月刊コミックビームで出版していただいた『退化の日』と『熱海の宇宙人』です。

実はこのふたつは大学の課題で描いた作品で」


大岩「大学の課題…!? 恐るべき才能…」


VVM「当時の担当編集さんが、『こんなに才能がある人が持ち込んでくることはめったにない!』と豪語されていたとか」


「それから話がトントンと進んで、大学3年生のころ、デビューさせていただきました」


VVM「2018年9月には、『繭、纏う』1巻が発売されました」


大岩「本当に描写がキレイで、衝撃を受けました。『繭、纏う』を描き始めたきっかけは?」


「当時の担当編集に、『原さんは女性同士を描くのが上手だね』と言われたんです。

でも当時はBLを描きたいな…ライトめな百合作品描けるかな…とモヤモヤしていて(笑)。

そこで、吉田秋生先生の『櫻の園』に出会って。

こういう女性同士なら描きたい! と」


大岩「髪の毛で制服をつくるというテーマも独特でおもしろいですよね」


「女性の髪の毛がその人の存在を表すことってありますよね。

たとえば、後ろ姿だけで人となりがわかったりするじゃないですか。

年を重ねるごとに髪質も変化するし、その人の生き様を表しているような。

ものがたりのなかでも、あの子の髪の毛の香りがいつもと違うというシーンだけで、どこかに泊まったのかな? 

新しい恋人ができたのかな? とか、感情を表現できるアイテムだなって」


大岩「確かにそうですね」


「一方で、女性と糸も、実は深い関係があって。

明治初期、女性が外で働き始めたのは、富岡製糸場。

つまり紡績だったんです。

当時女性はモノとして扱われていた傾向があって、戦後からはどう自分らしく生きるかが社会問題になってくる。

いわば、糸を断ち切って、いかに女性たちが自分自身で立っていくのかという見方もできる。

ここでも、女性の生き様を感じました」


大岩「おおお! 女性と髪の毛、糸がリンクしてきました!」


「あとは純粋に私が女子校出身なんです(笑)。

佐伯華みたいな王子様が本当にいたり、女性同士の息苦しさも知っていたし。

個人的には学校の校訓が合わなくて、あまり馴染めなかったんですけど、高校を卒業して、10年が経った今なら客観的に見れるなって」


大岩「なるほど。描いていて楽しいな〜つらいな〜とかはありますか?」


「私、漫画を描くこと自体が苦痛で(笑)。命を入れて描いているよねと友達に言われるほど、感情的に入れ込んでしまうことが本当に多いので、最初は心のすり減らし方が異常でした(笑)。

私自身、うつ病で漫画に救われた経験があったからこそ、その反対で漫画で人を殺してしまうこともできると感じています。

それだけはしてはいけないと思えば思うほど、作品に対して力が入ってしまって。

下手なものは出せないなと」


大岩「漫画の世界、奥深いです。3巻も楽しみです」


「ありがとうございます! 今まで臆病だった横澤さんが動き始めて、それとともに動けない佐伯さんを描いています。

制服はあくまでモノであって、その人の心には触れられないけど、モノと人は心を通わせられるはず。

制服と生徒が出会うのは、運命なんじゃないか、そんなことも考えながら描いているので、ぜひ『繭、纏う』の世界を楽しんでいただきたいです!」




【プロフィール】

原百合子先生

漫画家。埼玉県生まれ。

大学の受験期にうつ病になったが、BL漫画に救われたことをきっかけに、京都精華大学マンガ学部へ進学。

3年時に短編集『米の回路』(原作・河井克夫、月刊コミックビーム2015年5月号)で漫画家デビュー。

著書に『熱海の宇宙人』『繭、纏う』がある。

ちなみに、原先生はロングヘアに憧れるショートヘア。


Twitter @yurixxko


【作品】

『繭、纏う』3巻は6月に発売予定!

帯コメントは、幾原邦彦監督です!




  • 本記事はVVmagazine vol.71に掲載されたものの転載です。

VVmagazine vol.71はコチラ

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