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ヒマつぶし情報

2020.06.26

「あなたにはいま、音楽は必要ですか?」 LOSTAGE五味岳久からのメッセージとともに考える【VVmagazine vol.71】

LOSTAGE

左より五味拓人(gt)、新作リリースツアーサポートの堀一也(ba)、五味岳久(gt,vo)、岩城智和(dr)


THROAT RECORDSの店頭に立つ五味さん



<プロフィール>

五味岳久 さん

2001年に結成したロックバンド、LOSTAGEのba,vo。2004年7月、UK PROJECT内にレーベル「qoop music」を立ち上げ、ミニアルバム『P.S. I miss you』を発表。2007年7月、アルバム『DRAMA』でメジャーデビュー。2010年から五味岳久(Vo,Ba)、五味拓人(Gt)、岩城智和(Dr)による3ピースバンドとして活動するとともに、バンド表記を大文字の「LOSTAGE」へと変更。地元・奈良でTHROAT RECORDSの主宰もつとめる。

「自分の信じた音楽は、果たして人が生きていくのに、必要なのか」

 これはあるミュージシャンのブログに書かれていた言葉だ。

すでにコロナの猛威により、音楽を取り巻く状況がガラリと変わった。

「生音」を聴く機会が消え、肝心の音源を発売するお店も営業自粛、短縮が求められた。

ヴィレッジヴァンガードも、店員さんたちが推したいミュージシャンを店頭に展開し、インストアライブをしていくことで、本屋だけではない側面を印象づけてきたし、音楽とは深い関わりがあった。

冒頭の問いを記していたのは奈良発のロックバンド、LOSTAGEのフロントマン五味岳久(ba,vo)だ。

これまでインディ、大手インディレーベル、メジャーレーベルを経験してきて、2011年に独立。「ひとりひとりに音楽を届ける」という真意のもと、前作『In Dreams』はCDとレコードオンリーのリリースにして、流通も外部委託しない(ライブ会場と、彼が店長を務める「THROAT RECORDS」の実店舗、およびそのオンラインショップのみでCDを販売)という方法を取った。

そして5月に発売される新作『HARVEST』もその予定を立てていた……矢先だった。本人に現状をどう捉えているのかを聞いた。


「今回のコロナウィルス感染拡大の影響、いわゆるコロナ禍もしばらく続いていますが、その中で大きく追い込まれているのは“音楽そのもの”というよりは、それを演奏するライブハウスやホール、カフェなんかもそうですが、“音楽にまつわる場所”だった印象です。演奏や発信をするために今まで機能していた場所が閉じられたことで、行き場のないエネルギーが溜まっている感じというか……もちろんお金の流れも止まりますし」


─個人的にも人生の大きな楽しみが、いきなりもがれた気持ちです。

「音楽自体が無くなること、それを必要とする人がいなくなることはないんだなというのは、配信など工夫して音楽活動を続ける音楽家やそれに反応する人たちをSNSで見ていると実感できます。

今の状況になって『ライブハウスって最高だったな』と再確認している人たちだっていると思いますし。

そういったことを思えば、今出来ること、これからやろうと思っていることを繋いでいくしかなく、悲観的になっている暇はないなという感じです」


─今回、新作のタイトルを『HARVEST』(=収穫)にしたのは、これもブログにあったように「好きな音楽をやり続けることで自分は何度も救われてきた。

その日々があったから、今ここにこのアルバムがある。芽が出るかわからない種を荒れ地に蒔いて水をやり続けてきたというわけだ、そろそろ収穫の時期だと思いたい」という箇所から名付けたと察しています。前作『In Dreams』から約3年、本当の意味でインディペンデント活動をして得た「実」は何だったのでしょうか。

「アルバムに関してはたまたまコロナのタイミングに時期が当たってしまったわけですが、もともとリリース方法は『InDreams』のやり方を踏襲して、より直接的にお客さん達に届けるためにどうするかというテーマに沿って準備してきました(状況を考慮して配信で先行販売することになってしまいましたが)。

アルバムリリースはライブ会場先行で、その後は全国ツアーを今までにない規模で細かく回って、それこそ地方の小さなライブハウスの公演でお客さんたちの顔を見て演奏し、そこでアルバムも売って回る、みたいなことを考えていて。『In Dreams』からの3年で得たものは、そこでの温度感とか規模感など、数字やデータに置き換えられない“感覚”。

結局コロナの影響で、逆説的にその感覚を再確認することになった気もしているんですが……。

早くまたそれを肌で感じながらツアーしたいですね」


─『HARVEST』の制作がコロナによって影響を受けた側面はあるのでしょうか。

自分がそう感じただけかもしれませんが、一曲目の『かぎろひ』から『残像』にいたるまで、これまでの作品に比べ「優しく暖かい」印象を受けました。

「曲調や歌詞の内容はコロナとは一切関係ありません。我々の普段の暮らしの中から生まれてきたものだけが収録されています。

結果的に今誰かの心に響くことになったとしたら、それはそれで嬉しいことではあります。

普遍的な良さみたいなものはやはりあって然るべきだと思うので」


─先行き不透明な時間が続いていますが、toeの『MUSIC UNITES AGAINST COVID-19』しかり、GEZANの『全感覚菜』しかり、今回のLOSTAGEの早期配信(上限価格自由)と、「動けるバンド」がいまならではの活動をスタートさせています。

特に後ろ盾が少ないインディバンドがやれること、やるべきことには何があると思いますでしょうか。

「インディペンデントだから良い悪いとかはあまり考えてやっていないです。

我々は『自分のケツは自分で拭く』やり方が性に合っていたというだけで、自由ってなんなのか未だよくわからない。

後ろ盾は要らないし、やるべきことは何かとかも考えたくないなと思っています。

自分たちはやりたいことだけやりたいので(そのやりたいことをやるためにやりたくないこともやらないといけない時はありますが)」


─もしこの不透明な先行きから抜けた場合、当たり前のようにあった「ライブ」「制作」への向き合い方は変わると思いますか?

「個人的な意見ですが、当たり前のようにあったものがまた当たり前になった時に、それ以前と以後で、価値観や向き合い方がガラッと変わるようなことはないんだろうなと思っています。

人間って良いことも悪いこともすぐ忘れるし、慣れますし。

当たり前って『奇跡の集積』だったりするけど、それを毎度ありがたがっていたら疲れるじゃないですか。

この数カ月が経験としてこれからの生活に活きればいいなとは思います」


─そんな気持ちで音楽をとりまく環境が復活するのを待ちたいと思います。

最後に質問のベクトルが変わってしまうのですが、五味さんはヴィレヴァンにどんなイメージを持っていましたか? 

実は、ヴィレヴァンでは2015年には五味さんのイラストTシャツを販売したり、各店でCDを推していたりと関わりは長かったりします。

今年中にはリリース記念に弾き語りもぜひ……!

「人生は暇つぶしだ、みたいなことを甲本ヒロトさんか誰かが言っていたのを何かで読んだ記憶があるんですが、暇つぶしに最高の店だと思います、ヴィレヴァン。

弾き語り、是非よろしくお願いします」

  • 本記事はVVmagazine vol.71に掲載されたものの転載です。

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