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ヒマつぶし情報

2019.12.12

【VVmagazine】殺し屋が憧れるアイドル!?現代忍者・坂口 拓が、殺気を感じさせながら語る――「若者は好きに生きればいい。頑張るべきは、俺ら中年だよ〜」

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このインタビューは2019年10月25日発行VVマガジンvol64に掲載された記事の転載です。

 本年公開された、人気漫画原作の実写版映画『キングダム』。その中で〝左慈〞役として、圧倒的な存在感とアクションを魅せつけた俳優・坂口拓さん。しかし、現在は俳優を引退。〝現代忍者〞〝アクション監督〞として、自らが極めた格闘技・戦闘術…はたまた暗殺術(!?)を、YouTube番組『たくちゃんねる』で素人にもわかる面白おかしい動画で公開し、話題沸騰中なのである。そんな、怖いのだか、お茶目なのだかわからない『たくちゃん』に、お話を聞いてきた!

――(身震いしつつ…)坂口さんは、どんな少年時代でしたか?

坂口 「小1の時は7歳で、小2の時は8歳だったかなあ〜」

――そ、そりゃ、そうですよね(笑)。

坂口 「いや〜、まあ、そんなしょうもないこと言うのが好きな、それはそれはかわいい顔をした少年でしたよ(笑)。でも、いじめにあっていた時期があって、母親が学校に言っても改善されなくてね。ちょうど団地から一軒家に引っ越す時期だったから、転校したんですよ。で、その後は近所の年下の兄弟を従えて、『俺は喧嘩が強いんだ』って、嘘ばっかついていた。でも、ある日その土地のいじめっ子と喧嘩になりそうになった時、足がすくんで全く動けなかったんです。でも、子分みたいに従えていた近所の兄弟たちは、そいつらに立ち向かっていったんです。帰り道に顔向けできずに、ずっとうつむいてトボトボ歩いていたら、その兄弟が、『拓ちゃん、また遊ぼうね』って言ってくれて…」

――それは、切ないし、悔しいですね…。

坂口 「もう、家帰ってから、血が出るくらいまで壁をガンガン殴ってね…。そこから、絶対、強くなる!と決めて、翌日から少林寺拳法を習い始めましたね」

――それから、格闘技にのめり込んでいったと。

坂口 「そうですね。ただ、格闘技には向き不向きがあるし、いろんな格闘技を習得したかったので、高校生の時には八極拳に切り替えました。あと、山の上の高校に、毎日、自転車をこいで4時間かけて通っていましたよ。山風が強い日は、自転車を担いでいったり。今思えば、足腰を鍛えるいい修行でしたね(笑)」

――漫画の主人公みたいな日常ですね(笑)。アクション俳優になろうと思ったきっかけは?

坂口 「吉本興業の養成所か、ジャパンアクションエンタープライズ(旧JAC)に行くかで迷ったんですけど、母親が真田広之さんのファンだったのでJACに進みました(笑)」

――お笑いも視野にあったんですね(笑)。そこから、アクション俳優として順風満帆だったわけですが、現在、俳優業を引退した理由は何だったのでしょう?

坂口 「いわゆる、〝会話〞という演技だとリアリズムが求められるのですが、〝アクション〞という演技にはリアリズムが求められていなかったことに矛盾を感じまして。今では当たり前となっている様々なアクションも、僕は20代のころから取り入れていましたが、イマイチ反応がよくなかった。でもその後、かつて僕がやっていたことをみんながやり始めた。そうなると飽きてしまう、という良くも悪くも…な癖もありまして。そんな、時代と共になかなか生きられない悲しみを背負った男なんですよ(笑)」

――そこから〝現代忍者〞へと、いかに成りえたのでしょう?

坂口 「まず、伊賀の里の頭と出合ったのがきっかけですね。そこで本物の手裏剣や真剣の使い方を学んだのですが、それだけでは昔の忍者そのままの手法なので、ショーとして、エンターテイメントとして成立させるのは難しいかと。そこで、現代の忍者って何だろう? と考えた時に出た答えが〝殺し屋〞なんですよ」

――へ!?

坂口 「いや、現代の日本に殺し屋はいるかは知りませんが、忍びの者であり、暗殺ができるのは殺し屋だなと。…あ!あくまで映画の中やショーの中できる技術としてのことですよ(笑)。それを極めるために、〝ゼロレンジコンバット〞という戦闘術・暗殺術の創始者・稲川義貴さんに弟子入りし、〝ウェイブ〞という技術を身に付けました。肩甲骨をグルグルと回転させることによって生まれる体内のエネルギーを、相手に触れることでその波動で攻撃したり、逆に攻撃を交わしたりする技術です。あと、現代忍者である僕は、そのへんにある物はなんでも武器にできるし、武器を通して〝ウェイブ〞をかけることもできるんですよ」

――疑うわけではないですが、動画を観て、すごい! と思う反面、本当か?とも思ったりもしてまして…。

坂口 「…試してみます?」(と、記者に近寄ったかと思えば、全く見えないスピードで録音用にテーブルに置いていたスマホを奪い取り、記者の喉元に突き刺す坂口氏!)

――え、え…!?ア、アワワ…(汗)

坂口 「…で、ここで、ウェイブをかける…」

――ウゴワッッ!!(一瞬、のけ反る記者) ハア…ハアッ…、こ、殺す気ですか…?

坂口 「ハハハッ! これが、ウェイブです。100%でやったら、マジで死にます(笑)」

――ハア…ハアッ…(呼吸を取り戻して)、さ、坂口さんが、ここまでの技術を身に付けようと思った経緯も知りたいです…。

坂口 「『狂武蔵』という映画で、77分間・ワンカット/ワンシーン、殺陣をやりっぱなしの映像を撮ったんです。そのために、襲い掛かってくる役者たちに、俺ひとりを本気で殺すための技術を一年間かけて叩きこみました。で、自分でも自分自身がどうなるかわからないような撮影が終わった後に、嗚咽するくらい涙が出たんですね。後で思ったのですが、それは達成感から来る涙ではなく、肉体が泣いていたんですよ。役者としてのアクションはこれが限界なのかと、もう止めようと思いました。でも、下村勇二監督が数年前に僕の技術に興味を持ってくれて、映画『RE:BORN』を撮ろう! と言ってくれて。さらに、今年公開された『キ

ングダム』で、左慈役を演じました。それが俳優としては最後の作品ということになり、〝現代忍者〞を名乗って活動しようと思い立ちました。あと『殺し屋が憧れるアイドル』でも、目指そうかなと。いや、あくまで架空の世界の話ですよ(笑)」

――ハハハ…。そして、今年から始まったYouTube番組『たくちゃんねる』が、これまでの拓さんのイメージとは違ったギャップもあり、大変な人気を博しておりますね。

坂口 「嬉しいですね! まず、俺=怖いというイメージを払拭したかったから、コケテッシュな人形劇を絡めてみたりしていますが、素人でも身に付けられる護身術などをエンターテインメントとして伝えたかったのが、この番組の始まりだったんです。自分で自分の技術を伝えていくには、YouTubeは打ってつけでしたしね。人気YouTuberのヒカルさんなどとも絡んでいってますけど、今後はアジア方面の方々ともコラボしていきたいんです。〝Universal YouTuber〞としてね。というのも、〝アクション〞というのは、他国語が話せなくても世界的に理解される演技でもあるわけで。そして、忍者の体術というのは日本人の骨格を活かした動きがそもそも根本にあるから、日本発信でグローバルに提示できる。そういった活動が今後の目標かな」

――なるほど! 怖いというイメージの、暗殺術・戦闘術を逆手に取ってアピールしたいわけですね。

坂口 「そうそう。あと、日本人にこんなヤバイやついるんだったら、誰も喧嘩売ってこないじゃん?だから、俺の技術は逆に、世界平和にもつながるかなと(笑)」

――アハハ! …そんな逆説的に世界平和を目論む拓さんから(笑)、最後にメイン読者である、若い世代に何かアドバイスを!

坂口 「そうね〜。でも、アドバイスだなんておこがましいよ。若い人たちは、ただ楽しく好きに生きればいいと思う。男だったら、女性や子供には優しくしながらね。むしろ、頑張るべきは俺ら中年さ。そーいえば、記者さんは結婚しているの?」

――いや…まだです…

坂口 「何やってんだ、お前! さっさと結婚しろ!!…って、俺もだけどね(笑)。とゆーことで、俺と結婚したい人も募集中だし、『たくちゃんねる』へのチャンネル登録、よろしくゥッ(笑)!!」


…恐怖がだんだん、楽しくなってくる瞬間。こういう感覚を〝カタルシス〞と言うのだろうか――。拓さんの言葉の中から感じられる『スリリングなエンターテインメイント』そのものが、このインタビュー現場と、会話した1時間の中には確かにあった。40代になっても止まらないこの男の進化と野望は、若き世代のみなさんも目を離してしまったら絶対に後悔するので、チャンネル登録、よろしくゥ!!



1975年生まれ。現代忍者/アクション監督、元アクション俳優。昨今では、YouTube番組『たくちゃんねる坂口拓』にて“、ウェイブ”という体術を駆使した技の数々などを披露し、活躍中。


本記事はVVmagazine vol.64に掲載されたものの転載です。

VVmagazine vol.64はコチラ

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