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ヒマつぶし情報

2019.06.03

百合部、初の出張版! 岩見樹代子さんに愛を伝えてきました!

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このインタビューは2019年4月25日発行VVマガジンvol58に掲載された記事の転載です。

今回の「百合部への道」は、連載企画はじめての出張版ロングインタビュー!

おなじみ、百合愛にあふれる百合部部長の大岩さんが選んだお相手は、岩見樹代子先生。

翡翠賞受賞後、『百合姫』編集部で選評の時点から話題をさらったという『あのレモンかじって。』や、昨年10月に『百合姫』で連載が始まった途端、百合好きの間に「とんでもない傑作が出てきてしまった…」と衝撃が走った『ルミナス=ブルー』など、現在の百合マンガ界隈では絶対に注目したい漫画家さんです。インタビューはほぼ初だとか。

みんなが気になるその創作の秘密に迫ります!

大岩「今日は憧れの先生にお会いできて本当にうれしいです!岩見先生の経歴って謎に包まれていて…まずはどんな経緯でマンガを描き始めたのか聞いてもいいですか?」

岩見「物心ついたころには、もうマンガを描いていた気がします」

大岩「当時はどんなマンガを?」

岩見「それが実はジャンプ系なんですよ」

大岩「ええ! まさかのジャンプ!」

岩見「私、兄がいるんです。その影響でジャンプを読んでいたので、正直ジャンプしか知らなかった。高校のときにジャンプに投稿して担当さんもついたんです」

大岩「『百合姫』の看板漫画家さんがまさかのジャンプとは…」

岩見「でも当時は地元の宮崎にいたので、連載を取れることもなく、社会人になって普通に働いていました。でも、真剣に仕事に打ち込めなかったんですよね。25歳くらいのときに改めて生き方を考えて、やっぱりマンガを描くのって楽しいな、もう1回挑戦してみようって思って。それでアフタヌーンに原稿を送りました」

大岩「そして2012年に『千代のくちびる』で四季賞の大賞を受賞するわけですね。けれども受賞した後、『百合姫』に『あのレモンかじって。』が掲載されるまで5年くらいの空白期間がありますよね」

岩見「そうなんですよ。四季大賞をとった後が大変だった。担当さんがついたのだけど、全然連載をとれなくて。『千代のくちびる』は百合だったけど、その後は青年誌は男性が読むものと言われ、普通に男女の恋愛ものを描こうとしていたんです。当時はアシスタントもしていて、画力は鍛えられたんですけど、ネームを描いてはボツの繰り返しで。ほんと、ただボツる日々でした(笑)」

大岩「めちゃくちゃ辛いですね…。そんな逆境の中、どうして百合姫に?」

岩見「アシスタント先の先輩にななつ藤先生がいたんです。先生もなかなかネームが通らなかったそうなんですが、好きなものを描いてみたら? と編集さんに言われて描いた『ハルユリ』で、連載が決まったって聞いたんです。私は百合を描くなって言われているのになんで? って。『やっぱり百合を描きたい』という刺激を受けました」

大岩「百合愛に火がついて(笑)」

岩見「それで私も、当時の担当さんに百合っぽいものを出しました。まあ即ボツで。ああ、もう百合姫さんに行こうと」

大岩「結果、『あのレモンかじって。』で翡翠賞を受賞されましたね。あの作品は衝撃でした。やべえ! って(笑)。受賞した当時のお気持ちは?」

岩見「救われたなって。だめだったらどうしようと思っていました。拾っていただきありがとうございますって」

裏テーマは、読んだ人の性癖を歪ませてやろう(笑)

『ルミナス=ブルー』(一迅社)

大岩「ところで、岩見先生が百合好きになったきっかけはなんだったんですか?」

岩見「絵を描き始めたころからかわいい女の子がすごい好きだったんですよ。中学時代とか、ずっとギャルゲーをやってたり(笑)。あとは『セーラームーン』とか『少女革命ウテナ』とか、女の子同士、友情と恋愛の間くらいの関係がある、みたいな作品からだんだんとハマりました」

大岩「私も同じく、そのあたりの作品のかっこいい女の子への憧れが百合の入口でしたね」

岩見「それで、自分で百合を描いてみたら女の子同士ってすごく楽しいなって思ったんです。秘密なもの、今まで見ているだけだったものをマンガにするのは楽しいですね。自分で描くと百合が高まるというか(笑)」

大岩「3月に単行本1巻も発売されましたが、『ルミナス=ブルー』について教えてください。百合とカメラというテーマ、新鮮でした」

岩見「もともと写真が好きで、スナップをTwitterにポロっとあげてたんですけど、それを見た担当編集さんが打ち合わせで『カメラ百合はどう?』と、話を持ちかけてくれて、それでいこうと。カメラのファインダーを覗くって行為が変態っぽくて、そういう意味でもいいなって思っています」

大岩「『ルミナス=ブルー』だけではなく、先生の作品に共通していると思うんですが、水の表現が印象的ですよね。涙とか、海のしぶきとか、水たまりとか」

岩見「透明感とか瑞々しさとか、表現として液体がすごい好きなんですよね。キャラクターを泣かすのも好き。汗とか涙とかつい描いちゃいます。まあ体液も好きなんですけど(笑)」

大岩「(笑)。汁描写、やばいですよね。めっちゃ響くフェチです。でも岩見先生の作品って直接のエロは描かないですよね。行為に至る作品はないのに、擬似的にそう感じられる表現がある。そこがすごいです」

岩見「実際にしないというのが好きですね、ヤッてしまうとつまらない。全年齢が読める表現なのに、読み終わった時に何かわからないけどすっごいエロい気持ちになってほしいなって。裏テーマは、読んだ人の性癖を歪ませてやろう(笑)」

大岩「そういえば、先生が一番好きな体のパーツとかあるんですか?」

岩見「断然、太もも! 太ももからひざの間のふっくらとした部分が好きで、おしりとの付け根みがとくに。むっちりもほっそりも全部好きです(笑)」

大岩「いいですね、そのフェチ! 岩見先生のマンガって肉体描写がしっかりある気がします。その肌の感覚と、登場人物の感情がリンクする感じがとてもステキです」

岩見「大岩さんも私と同じ、変態ですね(笑)。共感してくれる仲間がいてとてもうれしいです。ありがとうございます!」

大岩「いえ、こちらこそ本日は貴重なお話、ありがとうございました! これからもステキなフェチを楽しみにしています!」


漫画家。2012年『千代のくちびる』でアフタヌーン四季大賞を受賞。

2017年『あのレモンかじって。』で百合姫翡翠賞を受賞。

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