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2020.11.13
雑談からネタへ──いや、雑談がすでにネタ!? 近所のおもろい兄さん二人組 ニューヨークのトークで笑え!!【VVmagazine vol.74】

(プロフィール)
ニューヨーク
嶋佐和也(左・ボケ担当)、屋敷裕政(右・ツッコミ担当)。『M-1グランプリ2019』ファイナリスト。漫才、コント共にこなす。皮肉や偏見に満ちたネタが多いとWikiにはあるが、それだけに留まらないネタやトークは、唯一無二。
YouTube「ニューヨーク Official Channel」も要チェック!
『M-1グランプリ2019』では決勝まで進出し、さらに昨年より開始したYouTubeチャンネルも大人気のお笑いコンビ、ニューヨーク。
奇抜なキャラやネタで攻めるわけではなく、かと言ってクールでシニカルな笑いでもない、「近所のおもろい兄さんたちの雑談」的な笑いでジワジワと中毒者が続出中。そんなお二人が、満を持して『VV magazine』に登場!!
─お二人のバックボーンに興味があります。小・中学生時代は、どんな少年でしたか?
屋敷「ずいぶん遡りますね~(笑)。その質問は初めてやわ~。うるさくて、大体、先生に怒られている子供でしたよ。中学生時代は普通にモテないけど、女子を意識している少年でした」
嶋佐「僕は静かな子供でしたね。当然、女子は苦手で。でも、仲のいいやつらとはコソコソ面白いこと言い合っているような」
─少年時代からお笑い芸人になりたかったのですか?
屋敷「…う~ん、お笑いは普通に好きでしたが、なりたいというのはなかったかなあ~。ほんと、『ごっつええ感じ』や『めちゃイケ』、あと『ガチンコ』なんかを観ている普通の少年で」
嶋佐「…僕も芸人になりたいというのは特になかったかなあ。でも、松本人志さん信者だったので、松本さんの番組は全て観ていましたし、著書も読んでいましたね。むしろ、『めちゃイケ』や『はねトビ』はあまり観ていませんでした。お笑い好きと言うより、松本さんが好きだったんでしょうね。当時、『一人ごっつ』でやっていた“お笑い共通一次”の問題を自分で作って、周囲にやらせていましたし(笑)」
─では、芸人になりたいと思ったきっかけは?
屋敷「いや、高校生のころにほんと、なんとなく。その後、私立の大学に行ってからも、クドイようですが、ほんと、なんとなーく思っていまして。でも、卒業後はテレビのADの仕事に就いたんですが、1年で辞めました」
─それはやはり、表舞台に立ちたいと思ったからですか?
屋敷「そうですね。どう考えてもADより出演者側に回ったほうが、楽だと思えまして(笑)」
─ははあ。そういった考え方もあるんですね(笑)。
嶋佐「僕は田舎の進学校に通っていたのですが、東京の大学生になりたくて。で、結局、東京一歩手前の神奈川県の某大学に落ち着ついたんです。そこは、ハマショーの母校として有名なところです(笑)。その影響もあってか音楽好きだった僕は、就活で音楽関係の数社の面接を受けたのですが、全部落ちました。…クソが! 何がハマショーの母校だよ! 音楽業界も、クソが…笑)!」
屋敷「いや、ハマショーさんも母校も音楽業界も、お前の就活には関係ないやろ(笑)」
─アハハ! でも時代背景的に、その後、音楽バブルは崩壊しましたよね。
嶋佐「ええ。だから今思えば、よかったと思うんです。当時、落とされて。その後結局、普通の仕事はしたくなかったことに気付きまして。だから、NSC(※吉本総合芸能学院)に入りました」
─そこでお二人は出会い、意気投合したと。
屋敷「いや、出会いはしましたが、コンビを組んだのは卒業間近ですからね。お互い、別の人とコンビを組んでいて、お互いうまくいかなくなって、なんとなく組んだというか」
嶋佐「結成時のころのことは、ほぼ覚えていないです(笑)」
─例えば、お二人は空手をやられていたとのことですが、それをお互い知った時に意気投合したとか?
屋敷「まったくないですね~」
嶋佐「相方が空手やってたことをいつ知ったのかも、まったく覚えてないです(笑)」
屋敷「一応お互い黒帯なんですが、流派も違いますし。僕は高校時代にインターハイ目指すような伝統的な空手ですし、嶋佐はフルコンタクトですし」
─(素人には違いがわからないと思いつつ)…では、お二人は空手を通じて邂逅したわけではないと。
屋敷「ないです、ないです」
嶋佐「久々に相方が空手をやっていたと、今思い出しました(笑)」
─では、何がお二人を惹きつけたのでしょう?
屋敷「う~ん、なんだろ…お互い、おもろい・おもろないって思う感覚が同じだったんだと思います」
─なるほど。
嶋佐「今、聞かれてふと思ったのですが、考えたこともないんですよね~。いつの間にか…って感じで」
─そんな、自然すぎるお二人のネタ作りに関しても、気になります。どちらかが台本を書いたり、骨組みを作ったりするんですか?
屋敷「いやいや、ないです(笑)。骨組みなんて作ったことないです」
嶋佐「ファミレスとかにとりあえず集まって、雑談の中から生まれてますかね~。台本もらえたら、いいですよね~。書いてあること言ってればいいなんて、楽だし、最高じゃないすか! 台本、ほしいです(笑)」
─アハハ! お二人はネタだけでなく、ただ会話しているだけでも面白いと思っていたので、すごく納得しました。
屋敷「ありがとうございます。めっちゃ嬉しいです」
嶋佐「そういうふうに思ってもらえるのは、ありがたいですね~」
─さて、現在YouTubeチャンネルも大変な人気ですが、感触はいかがですか?
嶋佐「いやいや、僕らが人気だなんて、トップYouTuberさんたちに申し訳ないですよ(笑)」
屋敷「僕らはただしゃべっているだけなんで、編集スタッフの方が死ぬほど大変ですよ。ほんと、スタッフ様さまです」
嶋佐「でも、おかげさまでファン層は広がったよな~」
屋敷「なんか街で声かけられるのも、かっこええ男が多いんですよ。髪の毛カチッとしている人とか、女遊びしていそうなサラリーマンとか」
─かっこいいですね(笑)。
嶋佐「洋服屋行ったら、イケメン店員が『いつも観てます』とかも、よく言われますね~。あと、若マダムのファンも増えました」
─若マダム(笑)。
屋敷「ただ、ファンでいてくれるのは嬉しいんですが、渋谷ののぞき部屋の公式ツイッターが僕らのツイートをリツイートしてくれるのは、ちょっと困ったものです。もう、その店行けないやんって(笑)」
─ギャハハ! 各界からの人気がすごいですね~
嶋佐「でも、メインストリームの方からの反応はあまり…。あ、でも、(笑福亭)鶴瓶さんにもYouTube観ていただいて、面白いと言っていただきまして」
屋敷「あと、本郷奏多さんな。彼が『メレンゲの気持ち』に出た時にゲストとして呼んでもらったんですけど、本郷さん観てうっとりの女性観客たちは、『誰、この人たち?』って顔していて(笑)」
嶋佐「場違いもいいところだけど、びっくりしたし、嬉しかったなあ。なんで俺ら呼ばれたんだろうと、今でも思っていますが(笑)」
─好きな漫画や映画は、ありますか?
嶋佐「『闇金ウシジマくん』や『ナニワ金融道』…あと、なんといっても『ONE PIECE』ですかね~」
屋敷「お前、ほぼ『ONE PIECE』しか読まんやろ(笑)。僕は逆に『ONE PIECE』は読んだことなくて」
嶋佐「映画だと、『モテキ』の映画版ですかね」
屋敷「僕は『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(※『モテキ』と同じ大根仁監督・作)かなあ。めっちゃ泣きましたわ」
嶋佐「あ、でも一番いい映画は、映画館の4DX状態で観る『マッドマックス』と『シンゴジラ』ですね。あれが一番いいです」
屋敷「それ、映画のよさと関係ないやん(笑)」
─確かに(笑)。では最後に、ヴィレヴァンマガジン読者のメイン層である10~20代の若者たちにメッセージを!
屋敷「メッセージですか!? いや~、今の若い子たちは僕らなんかよりしっかりしているんで、難しいなあ~」
嶋佐「みんな、どうなりたいんだろうと思いますよね~」
─確かに、今の若者はちょっと夢が持ちにくい世の中ですよね。
屋敷「とりあえず、選挙に行けよ! かなあ」
嶋佐「そうだなあ…頑張って金持ちになって、ストレスなく過ごしてください! 我々も、ストレスなく過ごしていきたいです」
屋敷「そもそも若者たちも、俺らに聞きたいことなんてないよな(笑)」
嶋佐「あ、あとちゃんと恋人作ってたくさんエッチして下さい。「童貞を守る」みたいな考えは普通にダサイです」
屋敷「選挙に行って、童貞を捨てろだな(笑)」
嶋佐「あ、あと、僕は映画に出たいので、映画を創ろうと思っている若者のみなさん、よろしくお願いします!」なんでしょう、この、淡々としているわけでもない、普通の雑談の中に鋭く入りこむ笑い。このお二人にしか生み出せない世界観が、そこにはある。しかも、本人たちは無自覚のうちに。ニューヨークは、これからも気づいた時には、水面下でファンが勝手に増えてゆく。そんなコンビだと、断言したい!!
本記事はVVmagazine vol.74に掲載されたものの転載です。
