ヒマつぶし情報
2020.10.08
謎に包まれた、音楽家・煮ル果実さんの正体を今、解き明かすのです!【VVmagazine73】

デビューするやいなや、『ハングリーニコル』『紗痲』『ヲズワルド』『トラフィック・ジャム』と立て続けに人気曲を発表する、ボカロPの煮ル果実さん。中毒性のあるサウンドとストーリー性のあるリリック、唯一無二のダークな世界観に、ハマる人続出。ボカロ業界を盛り上げている人気音楽家のひとりなのです。しかし性別や年齢、本名も非公開。わかっているのは、2月10日が誕生日くらいなもので...。そこで!煮ル果実さんの知られざる正体をあばくべく、オンライン取材してきました〜。
――音楽をはじめたのはいつごろからですか?
「今思えば、小さいころから習っていたエレクトーンだと思います。コンクールでいい賞をもらったりしていたんですが、鍵盤が好きじゃなくて、やらされていたという感覚のほうが強くて(笑)。音楽に能動的になったのは、小学生のころに音楽が好きな友達ができたとき。ロックバンドとかジャニーズ、アイドルと、ランキングトップ10に入るようなJ-POPを、分け隔てなくいろいろ聴いてましたね」。
――当時はまだボカロは聴いてなかったんですか?
「ボカロっていうジャンルは知っていたけど、なんで人間の声じゃないんだろう?って当たり前な疑問もあって、そこまでハマってはいなかったです。で、ある日ニコニコ動画で、じんさんの『カゲロウデイズ』を見つけて(2011年9月30日投稿)、完全に価値観が変わりました。曲にストーリーがしっかりあって、テレキャスでガシガシ弾いてって、当時聴いていたJ-POPとは全く違う音楽で、新しい文化が自分に流れ込んだ感覚でした。それからボカロっておもしろいな、自分でも作りたいなと」。
――ついに、制作ですね!
「...なんですけど、どう作ればいいのかわからず、挫折しました。いろんな曲を聴きながら、見様見真似で作っても、自分が思い描く音にならないし、投稿方法もわからなくて」。
――あら...。
「でも、それから数年経って、バルーンさんの『シャルル』(2016年10月12日投稿)を聴いて、再熱しました。絶対やろう、ボカロ曲をちゃんと作って投稿しようと決意して、アプリの『ガレージバンド』をダウンロードして、ボカロ曲以外にも、J-ROCK、J-POP、洋楽をたくさん聴き、勉強しましたね」。
――ゼロからスタートですね。
「そして2018年2月10日に『アンドリューがいったから』でボカロPデビューしました。その年の6月10日に投稿した『ハングリーニコル』は、いつもと違う手応えがあって、自分的にバズったぞと(笑)。果てしなく広いボカロ業界的にバズってるわけじゃないけど、おもしろいヤツが出てきたと思ってもらえたんじゃないかなとは思いました」。
――たった4か月って、早すぎ...。
「ボカロは音楽のジャンルが多様化しているけど、それを受け入れてくれる土壌があることがうれしくて、楽しくて、投稿し続けてましたね」。
――確かにボーカロイドを使っているという共通点はあるけど、サウンドはいろいろありますよね。いつもどうやって音楽作っているんですか?
「突発的に落ちてくることが多いです。急に降ってきたものを、自分でやりたいサウンドに当てはめて、頭のなかで妄想して作ってから、パソコンを触って、音に変えていく作業ですね。歌詞もサウンドも、RADWIMPSの野田洋次郎さんとBUMP OF CHICKENの藤原基央さん、山田亮一さんの影響はかなり受けています」。
――天才の曲の作り方じゃないすか...。
「いやいや、全然です。ボカロがもっと盛り上がってくれたらうれしいです。僕としては数字を出すことを意識しすぎずに、自分がこれを出したら死んでもいいと思える一曲を出すまで頑張りたいです」。

2月10日生まれ。音楽家。2018年6月10日より、ボカロPデビュー。名前には、存在しない(=NIL=煮ル)、いろいろな味のする音楽を作りたい(=果実)という意味が込められている。
Twitter:vinegar_vinegar
YouTube:

【アルバム詳細】

7月15日(水)2nd Album『SHIMNEY』リリース
「さまざまな感情が詰まったアルバムになりました。ファーストアルバム『NOMAN』では描ききれなかった部分まで、深く突き詰めて書くことができたと思います。なかでも『イエスマン』は、どれだけ苦しんでいても自分を肯定して生きていかなきゃいけないという重たいメッセージを、軽快なリズムのなかに落とし込んだ自信がある一曲です。ぜひ御賞味下さい」(煮ル果実)。