VILLAGE VANGUARD
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ヒマつぶし情報

2020.07.25

人妻店長酒場放浪記


私はよく仕事後に一人でいつもの店に飲みに行く。週2、3くらいで通っている。

自分は既婚者だが、家族はいつもの店ならいいよ、いってらっしゃいと安心して送り出してくれる。

ありがたいことだ。


酒が趣味で、独身の頃からお気に入りの立ち飲み屋に一人で行ったり、友人とよく飲み歩いたりしていた。

お酒の好きな人たちが集まっているその店の空気が好きだし、職業も年齢も違う知らない人のお話が聞けることもあり本当に面白いのである。



これは人妻の酒飲み放浪記であり備忘録だ。



いつからだろうか、頼まなくてもいつものやつを出してくれる店に出会ったのは。

ヴィレッジヴァンガードに入社した頃だったから9年以上前か。


当時は京都に住んでいて、西院という飲み屋の多い駅の近くに住んでいた。

駅と自宅の間には「折鶴会館」という立ち飲み屋が密集した場所があり、疲労した仕事帰りに避けて通ることは非常に困難であった。


ぼうっと光る看板、ガラス戸から透けて見えるカウンターに吸い寄せられるようにガラガラと扉を開けるとママが優しく迎えてくれて、頼んでいなくても日本酒を出してくれるのだ。夏は冷酒、冬は熱燗で。


ちなみに入社当初の自分はどこぞのヤンキーのような風貌であり、頭がピンクだったのでピンクちゃんと呼ばれていた。明らかに怪しかったのに、他のお客さんも面白がって受け入れてくれてとても居心地がよかった。

五臓六腑に染み渡ると言わんばかりにぐいぐい日本酒をすする私を見たおばあちゃんが、「あら、私もいただこうかしら。」なんて言って注文し、一緒に乾杯したり、これおいしいから食べてみて、とおいしいメニューを教えていただいたりすることもあった。

ピータンを食べたのはその時が初めてだったと思う。ちょっと苦手な味だったけど。


カウンターについたらすぐに日本酒がでてくるため、こちらもすぐにタマゴサラダを頼む。それを選ぶのは小皿に盛られた状態で冷蔵庫内で冷やされており、すぐに出てくるからだ。ゆで卵とマヨネーズ、胡椒で味付けされたザ・シンプルなタマゴサラダ。

これをつまみながら焼きに少し時間のかかる串を注文するところまでがルーティンだ。

店内の隅にあるテレビではよくバラエティ番組がかかっていて、それをぼうっと眺めながら焼きあがった串を食らいつつおかわりを頼み、3杯ほど飲んだところで明日も朝から仕事だ、と名残惜しく帰宅するのであった。何とも言えない実家のような安心感があって、そこにいたお客さんもお店も本当に好きだった。



のちに結婚のため京都を離れることとなり、東京に住むことになった。

店で使い古した段ボール3箱にすべての私物を詰めやってきた東京には、あの馴染みの店は存在しないのだ。もう私のことをピンクちゃんと呼んでくれる人たちもいない。

新婚生活と同時にやってきた見知らぬ都会は想像以上に孤独であった。


じゃあそういう店を自分で探せばいい。そういう環境を見つけるしかない。

そうすれば知らない大都会だってきっと楽しいはずだ。

時間がかかったっていい、見つけよう。


かくして私の酒飲み放浪記は始まったのだ。


次回は東京編その1。

連載が勝ち取れますよう、願いながら今日もいいちこをロックでいただこう。