VILLAGE VANGUARD
  • 最新記事 最新記事
  • イベント イベント
  • オンラインストア オンラインストア
  • 店舗検索 店舗検索

ヒマつぶし情報

2020.07.27

カツセマサヒコさんデビュー小説「明け方の若者たち」発売記念対談!お相手は推薦コメントも書いた!ヴィレヴァンスタッフ長谷川明!【VVmagazine vol.72】

シェアする

Facebook
Twitter

カツセマサヒコ(ウェブライター)

長谷川朗(下北沢店 次長)


報われない、恵まれない恋愛をしている人に少しでも「大丈夫だよ」と

言ってあげたかった

サブカルの定義がおかしい時代を生きる主人公を描きたかったんです

どんなに上手くいってると思える人でも「こんなハズじゃなかった」と

言い続ける。

そういうものだと思います



mazon売れ筋ランキング日本文学部門で1位を獲得し、発売前に重版も決定した、人気ウェブライター・カツセマサヒコさんのデビュー小説『明け方の若者たち』。

今回は、かつては下北沢で働き、ヴィレヴァン(以下:VV)とも何かと深いご縁のあるカツセさんをゲストに招き、小説執筆の舞台裏から、そこに込められたメッセージ、そしてDVDで言うところの特典映像のようなエピソードまで語っていただきました。

聞き手は『明け方の若者たち』の推薦コメントも寄せたVV下北沢店の長谷川朗が担当します!



VVM 全国に約350店舗を構えるVVの中から選ばれた幸運なスタッフが、会いたかったあの人にインタビューを試みる、というコーナーなんですが、今回はこちら『明け方の若者たち』の推薦コメントを寄せたVVMでもおなじみVV下北沢店の長谷川朗さんが、お話をお聞きします。


カツセ その節はお世話になりました。


長谷川 推薦コメントを寄せたのはいいですが、後でほかの人の名前を知って焦りました…。


VVM 長谷川さんのほかには安達祐実さん、尾崎世界観さん、村山由佳さん、紗倉まなさん、今泉力哉さんがコメントを。


長谷川 なぜ僕だったんですか?


カツセ 僕が編集プロダクションに入った時に初めて取材させてもらったのがVVの下北沢店だったんですよ。


長谷川 確か「下北沢経済新聞」の取材でいらっしゃって。


カツセ そうですね。そういうご縁もありましたし、あとは小説の中にVVが出てくるので、ぜひぜひお願いしますと。


長谷川 ありがとうございます!


VVM 読者のために簡単に説明しますと、カツセさんは86年の生まれ。大学を卒業後、09年から一般企業に勤務し、趣味で書いていたブログをきっかけに編集プロダクションに転職。17年に独立してフリーランスに。


長谷川 VVが出てくるくだりもそうですし、そういうカツセさんの経歴と見比べてみても、これはある種の私小説なのかな…と感じたのですが、どうなんですか?


カツセ これは一番聞かれる質問で、なおかつ一番お答えしづらい質問なんですけど、書く前にあんまり僕に引っ張られすぎちゃうのもどうかなと思ったんですね。

主人公像を、僕のこの感じと捉えられると読者の想像力を狭めると思って。

それもあって主人公の名前は決めず、“僕”と“彼女”にしたんですけど。


長谷川 みなさん少なからず小説に書かれたような経験はあると思いますし、僕自身も“僕”の気持ちがよくわかるところがいくつもありました。


カツセ ありがとうございます!


VVM 自分の体験談を織り交ぜつつフィクションを書かれたわけですね。


カツセ そうですね。浅野いにおさんが『ソラニン』を描いている時に取材をする時間がなくて、自分の周りで起きたことしか描けなくて…とおっしゃっていたんですけど、僕も今回、副業的に小説を書いたので、自分の周りで起きたことと、起きてほしかったこと、起きてほしくなかったこと。

この3つで書こうと決めて…ただ、振り返ると本当に平凡な人生すぎて困りました(笑)。


長谷川 いやいや、そんな!


カツセ 「事実は小説よりも奇なり」(現実の世界で実際に起こる出来事は、空想によって書かれた小説よりもかえって不思議だという意味)とか言うじゃないですか?

 「でも絶対そんなことはない!」って(笑)。

たかだが30何年しか生きていないですけど、ツマんない人生だな~って。


VVM でも平凡だからこそ、年齢・性別に関わらず感情移入できると思いますし、グッとくる場面も多いんじゃないかと。


カツセ とはいえ、やはり商品としてエンターテインメントに仕上げなきゃいけないので。

多少“盛る”じゃないですけど、想像を膨らませて書いた部分もあって。

どんどん私小説的なものからは離れていった気がしますね。


長谷川 じゃあ、あえて自分とは真逆の方向に持っていった?


カツセ ストーリー的にはそうですね。

僕の人生ではなかなか起こり得なかったであろうエピソードを想像して書きました。


VVM 主人公はいかがですか? 想像で補う部分が多い中、カツセさん成分が高い気がしたんですけど。


カツセ 登場人物に関しては主人公の“僕”を含め、「全員が自分」って感じになりましたね。

言葉なり心情なり行動なり、僕のいろんな部分が投影されていて、「全員足すと僕です!」みたいな。


VVM 石田という大学の飲み会で裸になるイヤな感じの同級生が出てきますが…。


カツセ それも僕の一部分(笑)。実際そういう時期もあったんですよ。

集合写真の真ん中で寝転がってたり。


長谷川 へ~、なんか意外。


カツセ でもある時は、一番後ろの端っこの方で笑顔も作れない時があったり。

所属によってキャラクターが変わるのはみんな経験があると思いますし。

僕も石田みたいな前へ前へ、という人格もあれば、そういう人を俯瞰して見てる“僕”のような人格もあるし。

で、ずーっと「こんなハズじゃなかった」って愚痴ってる(笑)。

自分の一番キライなところですね。


長谷川 (笑)


カツセ だから一番キライな部分が出た小説のような気もしますね。


長谷川 性別や世代によってグッとくるポイントは違うと思うんですけど、僕なんかは今働いているので、恋愛の話より、主人公が就職してからの話に共感しました。


カツセ そう言っていただけるとうれしいです。


長谷川 “僕”の揺れ動く気持ちがよーくわかりました。

VVに入って15年になりますが、上を目指すというより自分の好きなものをやっていこうと開き直る自分もいるし、カツセさんと同じく「こんなハズじゃなかった」と愚痴る自分もいるし(笑)。

最初は恋愛小説だと思い込んで読み進めたんですけど、お仕事小説でもあるんだなと。


カツセ 平坦な言葉で言うと広く老若男女のみなさんに読んでほしい…と思う一方、こうした青春小説は読む層がある程度、限られてくるかなと思っていたんですよ。

登場人物にしても、普通は何かしら苦労したり困難を克服したりするけど、こんなに自己肯定感揺れ揺れの主人公ってあんまり受け入れられないかなと思っていたので。

だから、そうした感想はありがたいですね。

自分では予期していなかったので。


長谷川 働く男性にもオススメします。もちろん恋する若い人たちにも。


カツセ よろしくお願いします!


VVM 恋愛のエピソードはどれくらい想像で書かれたのですか?


カツセ 恋愛に関しては「こんなのあったらいいのにな」という妄想の集大成になりました(笑)。


VVM ツイッターでもおなじみの。


カツセ ネタバレしない程度に言うと、報われない恋というのは誰しもが一度は経験したことがあるだろうなと思って書き進めたところがあるので。

恋が成就してハッピーな経験よりも失恋して傷ついた経験の方が心に残っていたりするし。

じゃあ、それを書くためにはどうすればいいか考えて。

で、主人公にとって一番ダメージがデカイのは何だろうなと思ったらああいう形に…(この先ネタバレにつき自粛します!)。


長谷川 そのダメージによって、めちゃくちゃ堕ちますよねー。


カツセ あそこまでの経験は正直ないんですけど、似たような経験、似たような気持ちになった人はたくさんいるだろうなと。

人間は後悔を何年も引きずる生き物だから『君の名は。』もあれほどヒットしたと思うんですよ。


長谷川 うんうん(うなずく)。


カツセ 若い女性が多いんですけど、ツイッターのフォロワーさんも報われない、恵まれない恋愛をしている人が本当に多くて。

「えっ!?  こんなにいるの?」って驚くくらい。

その人たちに少しでも「大丈夫だよ」と言ってあげられる小説にしたかったという思いもあります。


VVM 80~90年代に青春時代を送った世代も懐かしい気持ちで読めると思いました。

小説で言えば、大槻ケンヂさんの『グミ・チョコレート・パイン』(93年発売)に胸を熱くしていた40~50代の世代ですかね。


カツセ まさに、『グミ・チョコレート・パイン』は僕の原体験の小説でもありますし、そうした古典へのオマージュもたくさんあります。

VVの店内で待ち合わせをするくだりなんかは自分がやったことがなくて、やってみたかったことなんですけど、これは11年に公開された映画『モテキ』の影響で。


VVM 森山未來さんと長澤まさみさんがVV下北店で待ち合わせて初対面するシーン。


カツセ 当時みんなやってみたかったことだし、「俺は森山未來になりたい!」って思っていましたし(笑)。

それを引きずっている人たちの話を書きたいと思ったので、映画の半年後の12年から始まる話にして。先ほど私小説感は薄いと言いましたけど、そういう僕が影響を受けた作品へのオマージュという意味では、すごく自分が出ていると思いますね。


長谷川 『モテキ』よろしく、小説には音楽もたくさん。


VVM オムニバスCDを作る際はぜひVVで!


カツセ そうですね(笑)。


長谷川 pillows、キリンジからRADWIMPSまで、幅広いミュージシャンの名が。


カツセ 「RADWIMPSの3枚目と4枚目、どっちが好きか?」で主人公が盛り上がるんですけど、それって、そのころ青春時代を送っていた人たちにとってはサブカルチャーを語ってるつもりの会話なんですよ。


長谷川 ら、RADWIMPSがサブカル…!?


カツセ 「それってどういうこと?」ってなるでしょうけど、10年代の若い人たちにとっては、かつてのサブカルチャーはメインカルチャーになっていて。

そこらへんの定義がおかしなことになっちゃってる時代を生きてる主人公を描きたかったんですね。だから冒頭にそういう会話を入れて。


長谷川 なるほど~。確かにVVの店内でも「マーベルってサブカルだよね?」という若いお客さんの会話を耳にしたことが…。


VVM pillowsとキリンジとRADWIMPSを一括りで語る世代ということですか…。


カツセ 小説に出てくるpillowsの『ハイブリットレインボー』はBUMP OF C

HICKENが、キリンジの『エイリアンズ』はのんさんがカバーされていて。

そっちで知って、その1曲くらいしか知らないけど語る、という。

「じゃあアルバム聴いてるの?」ってなると聴いていないんですよ。

そういうディグる(レコードを堀り探す)ってことをしない世代の主人公の“僕”と、実は深くまで知ってるんだけど合わせて会話してくれている“彼女”の話を書きたかったんですね。


長谷川 自分より詳しい女性と付き合って尊敬するタイプと嫉妬するタイプがいると思いますが、カツセさんはどちらですか? 

僕は完全に後者ですが(笑)。


カツセ 僕もです(笑)! できるだけその話題をしないようにする。

そういう童貞臭さも小説では書きたくて。


長谷川 男は語りたい人が多いから。


カツセ 僕も高校生のころ片思いしてた人がサブカル通で。

なぜかと言うと大学生の彼氏と付き合っていたから。

それである時、音楽を語ってけちょんけちょんになりました(笑)。


長谷川 (笑) そういうのが一番、傷つきますよねー、男は。


VVM 小説の書き出しは「私と飲んだ方が、楽しいかもよ笑?」の16文字から始まりますが、ここですでに“彼女”からマウントを取られていることがわかります。


カツセ いろんなニュアンスがあると思い、何度か書き直しましたね。余裕と自信と不安と…そういう感情がわかる言葉を。

「?」の場所「笑」の場所もこだわって…ちなみにこれって、僕が好きな女性のラインなんです(笑)。

絵文字もスタンプもない、シンプルなヤツ。


長谷川 タイトルはいかがですか?


カツセ 違うタイトルも候補にあって、最初は響きやリズムも意識したんですけど、最終的には10万文字書いて、それを集約するシンプルなものに決めました。


VVM 東京が舞台の物語であるため、サニー・デイ・サービスの1stアルバム『若者たち』、2nd『東京』を彷彿とさせました。


カツセ そうですね。サニー・デイ・サービスもそうですし、僕の世代的にはフジファブリックの『若者のすべて』とか。

そういう影響もありながら、この小説で一番描きたかった明け方の高円寺。

始発待ちしているゆるい空気というシーンを思い浮かべながら『明け方の若者たち』にしました。裏テーマとしては、若者たちにとって深夜に飲んでいる時間が一番自由な瞬間で、明け方=自由の終わり。「青春はもうすぐ終わってしまうよ」という感じですね。


長谷川 街の風景もしかり、すごく映像が浮かぶ小説でもありました。


VVM 先ほど『モテキ』の話題が出ましたが、もしも映画化するなら配役は誰がいいですか?


カツセ えーっ、考えたことがなかったな…。

“彼女”の造形はめちゃくちゃ細かく書いたんですけど、それは僕が大好きな宮﨑あおいさんをデフォルメしていて。10年に公開された『ソラニン』のころのイメージで。


長谷川 なるほど~、わかります。


カツセ 今の20代の俳優さんでは…誰だろう?


VVM 取材前のスタッフ雑談では二階堂ふみさんの名が挙がりましたね。

“彼”は菅田将暉さんで。どこかのCMみたいな配役ですが(笑)。


カツセ 恐れ多いですけど、やっていただければうれしいですね。


長谷川 監督さんは? それこそ本書の推薦コメントを寄せられた今泉力哉さんとかどうですか?


カツセ 今泉監督のハッピーエンドではない話が好きなので、こちらも恐れ多いですけど、ぜひ! 

ほかにもたくさん好きな俳優さん、監督さんがいるので、やっていだたけるのであればどなたでも。


VVM ではお時間も少ないので、あと2つ、3つ。


長谷川 これは大阪のVVアメリカ村店のスタッフからメールで届いた質問で、僕もお聞きしたいことなんですが、大手企業を辞められて編プロへ転職する際、どんな思いが背中を押したのですか?


カツセ 小説にも書いた10年代の初頭はSNSの普及が大きな影響を与えたと思うんですよ。

12年にラインが登場して。ツイッターの人口も増えてきて。

僕も10年にツイッターを始めて、ツイッターのアイコンを書いて生計を立てている人とか、小さな経済圏で楽しく働いている人たちがたくさんいることも知って。


VVM 新卒入社した印刷会社では配属先の希望が叶わず、総務部門へ。

その後の異動も叶わなかったそうですね。


カツセ モヤモヤした気持ちのまま5年間が経ってしまい。

転職は企画やクリエイティブ系の仕事に関わりたい、その一心でした。

それまでは粛々とサラリーマンをやって65歳で定年していくのか…と考えていたんですけど、14年ごろはSNSもかなり発達してきたので、発信していればいつか誰かに届くんじゃないかと思って。

で、ツイッターに加えてブログを始めたんです。


長谷川 それがプロダクションの代表の目に留まって、お誘いを受けて。


カツセ めちゃくちゃうれしかったですね。

僕は生意気で先輩や上司に可愛がられたことがなかったので、初めて認められた気がして。

ただ、僕12年に結婚したので、そこが一番のネックでした。


長谷川 しかも4万人の大企業からスタッフ5人の、出来たばかりの新しい会社への転職するわけで。


カツセ 親から罵声を浴びました(笑)。

でも、「がんばるから!」って奥さんに土下座してライターの世界に飛び込んで。

そこからは毎日、必死でした。


長谷川 小説でも主人公の“僕”の気持ちが揺れ動きます。

僕自身も結婚しているので転職する仲間を見送り、うらやましい気持ちもありながらも守りに入り…次第になあなあになって。

それでもどこかに希望を見出して…という経験があるので、就職後の“僕”にものすごく共感しました。


カツセ でも小説で描きたかったのは、転職するとかフリーになるって「そんなに甘くないよ」ということで。

僕自身もシンデレラストーリーとして語られがちですけど、全然そんなんじゃないですし。

どんなに上手くいってると思える人でも「こんなハズじゃなかった」と言い続ける。

そういうものだと思います。


長谷川 あとアメ村店のスタッフからは、VVで「好きな仕事」に就けたのはいいけど、好きなことを仕事にしたからこそ見えてきた現実もあり。

このままそんな中途半端な気持ちで働き続けていいものでしょうか…という質問が。


カツセ 質問というより相談ですよね(笑)。

でも、わかるなー。好きを仕事にした際の弊害、ですよね。


VVM 好きを仕事にしたがゆえにキライになることもあると聞きます。


カツセ スタッフさんの場合、書店員さんの仕事としてキライな本も並べて宣伝しなきゃいけない。でも、その本は世間的には売れる商品で…みたいな。

そこは悩ましいとは思うけど、やるしかない。

あとは辞めるか。

独立するか…それには、僕をすくい上げてくれた編集プロダクションの代表のようにフックアップしてくれる人の目に留まる努力をする必要もあると多います。


VVM そして自分が好きなジャンルを集めた専門の書店を作るとか。


カツセ 独立した場合、好きに加えてもうひとつ大事なのが、それが「得意なことがどうか?」ということですよね。

僕はその両方が成り立たないと食っていけないと思っていて。

好きなことはいずれ飽きちゃうかも知れないけど、得意なことはやり続けられると思うから。

好きな本を並べたいなら会社に残って偉くなる、という選択肢もあると思いますね。


VVM 会社の意向を組みつつ、実績を残して。

カツセさんの好きなMr.Childrenだって、ヒットを重ねたからこそ『深海』が出せたわけで。


カツセ そうですよね。ミスチルも1枚目のアルバムが『深海』だったらきっと売れていないだろうし。

『イノセントワールド』を当てて、段階を踏んだから『深海』に辿り着けた。好きなこと、やりたいことをやるには、そういうふうに周りの人を納得させる力も必要だと思います。


長谷川 転職し、フリーになり。

今度は小説という新しいことにチャレンジし、前へと突き進むカツセさんですが、その原動力は何ですか?

カツセ 少年ジャンプの世界なんですけど、同じようにフリーで働く仲間を集めて「海賊王になりたい」。

そのために進んでいく。

ゴール地点があるから進めるんだと思います。とはいえ、上手くいかないことも多いから「こんなハズじゃなかった」と、相変わらず言い続けていますが(笑)。


長谷川 では究極の夢は?


カツセ 僕、糸井重里さんが好きなんですけど、ああいうカテゴライズされない存在に憧れます。

加えて糸井さんといえば『もののけ姫』の「生きろ。」というキャッチコピーで有名ですけど、その3文字でお金を得るライターになりたい。で、海辺か何かで白い大きな犬を飼って暮らしたいですね、ザックリ言うと。

こんな欲にまみれた海賊王はいないですけど(笑)。


長谷川 アハハハハ(笑)!


カツセ これ書けないですかね?


VVM いーえ、書かせてもらいます(笑)!


カツセ じゃあ、最後に真面目な話をすると、今回の小説は音楽で言うと僕の1stアルバムで。よく1stは1枚目でありべストアルバムだと言われますが、本当に人生を振り返って「もう自分の中からは出ないや」というくらい絞り出しものが書けたと思うので、みなさんぜひ読んでください。


VVM 気が早いですが2作目は?


カツセ もう自分の中からは出せないので、完全に創作すると思いますね。

(音楽や映画、本の2作目は当たらないという)いろんなジンクスもありますが、「『ダークナイト』は面白いじゃん!

 『ターミネーター2』面白いじゃん!」と思うので、次作ではそこを目指したいです。


長谷川 (笑) 本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。


カツセ こちらこそ楽しかったです。機会があればまた呼んでください!




【プロフィール】

1986年東京生まれ。 大学卒業後、大手印刷会社へ就職。編集プロダクション・プレスラボでのライター経験を経て、2017年4月に独立。広告記事、取材記事、エッセイ、物語等の企画・取材・執筆を行う。ツイッターでの恋愛・妄想ツイートが10~20代前半の女性の間で人気を呼び、現在フォロワーは14.7万人を誇る。


【書籍情報】

『明け方の若者たち』


2020年6月11日(木)発売

カツセマサヒコ著/幻冬社刊

カツセマサヒコ初の小説。「私と飲んだ方が、楽しいかもよ笑?」の16文字から始まる「沼のような5年間」を描いた青春譚。明大前で開かれた退屈な飲み会。そこで出会った彼女に、一瞬で恋をした。本多劇場で観た舞台。「写ルンです」で撮った江の島。IKEAで買ったセミダブルベッド。フジロックに対抗するために旅をした7月の終わり。世界が彼女で満たされる一方で、社会人になった僕は“こんなハズじゃなかった人生”に打ちのめされていく。息の詰まる満員電車。夢見た未来とは異なる現在。深夜の高円寺の公園と親友だけが、救いだったあのころ――。

長谷川朗の推薦コメント

「こんなはずじゃなかった」未来を生きている大人は共感しかない。

甘い恋愛小説と思って読んで後悔した。



本記事はVVmagazine vol.72に掲載されたものの転載です。

VVmagazine vol.72はコチラ

\シェアする/