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ヒマつぶし情報

2020.06.15

レジェンドヒップホッパー ライムスターの宇多丸さんによる多彩すぎるメソッド!! 「俺程度の才能でも、なんとかなるよ(笑)!!」【VVmagazine vol.70】

【プロフィール】

宇多丸さん

ジャパニーズヒップホップ黎明期の1990年代前半から活躍する、ヒップホップグループ・RHYMESTERのMC、マイクロフォンNo.1。映画評論家、ラジオDJなどとしても知られる。

『ライムスター宇多丸の映画カウンセリング』

新潮社・刊/781円(税込)

【配信リリース!】

スチャダラパーからのライムスター『Forever Young』

まだイケる、まだまだイケる! スチャダラパーとライムスター、30年目の夢のコラボ実現!

https://www.tfm.co.jp/foreveryoung/




日本ヒップホップ界のレジェンドであるライムスター。そのMCの一人であり、TBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』の人気コーナー『ムービーウォッチメン』で独自の映画評を展開する、宇多丸さんが遂に登場!! VVmagazine読者に向け、熱きメソッドを展開!!



─宇多丸さんのヒップホップとの出会いを教えてください。


「もちろんその前からジャンルとして認識はしていたけど、ラップそのものに完全にヤラれたのは、17歳くらい、Run-D.M.C.ブームのときですね。

いとうせいこうさんや近田春夫さんといった前の世代のヒーローたちも騒ぎ出して、例えば雑誌『ミュージック・マガジン』でのお二人の対談に、論理的に説得されたりしたのも大きかった。

あと、ちょうどその頃、80年代半ばに風営法が改正されて、ディスコが深夜営業できなくなって、その間隙を縫うようにクラブ文化が台頭してきたんです。

ヒップホップやハウス、レゲエが一晩に全部かかるようなパーティがあちこちであって、学生の頃は、そのカルチャーにどっぷりハマッていましたね」


─さすが、当時の雰囲気・風景がとても伝わってきます。


「当時のクラブシーンは人材が求められていて、ラップやスクラッチ、レゲエDJなどが全部ごちゃまぜになったコンテストがいっぱい開かれていたんです。

試しに僕もラップをしてみたら、『上手い』と言われて、調子に乗ってるうちに引っ込みがつかなくなりまして(笑)。

でも文化的に、例えばファッションとしてジャージを着たりとか、お金がなくてもアイディアでなんとかなるといった80~90年代のストリート化には、若者としてチャンスを感じましたね。で、Mummy-Dと知り合ったら、考え方がすごく近くて。

自分たちの日本語ラップ表現の確信を得ました。『俺たちは正しい!』と」


─そこから、一気に大躍進が!


「いや、そんなことなかったです(笑)。

俺たちが乗るはずだった列車には、スチャダラパーに乗っていかれました(哀笑)。

そこからは苦労しましたね、自分たちが間違っていないことを世間に知らしめるのに」


─さて、宇多丸さんといえば、軽妙なトークも痛快であり、映画評論家としても知られているわけですが、そもそもしゃべることは子供のころからお好きだったんですか?


「それこそ、何か映画を観たら、翌日友達に熱心に解説しているような子供でしたよ」


─今、ラジオでやっていることと変わらないんですね~! 一番最初に観た映画は何でした?


「それは覚えてないですけど、はっきり映画っていいなと自覚したのは『スター・ウォーズ』からですねえ。

決定打でした。

あと、映画を観て、お話が悲しいとかではなくその表現の凄さに涙が出てきて自分でも驚いたのは『2001年宇宙の旅』です。親が映画を観に行くことに理解があったのはありがたかったですね」


─『ムービーウォッチメン』で垣間見せる宇多丸さんの分析力は、やはり唸ります。


「分析力かわかりませんが、大事なのは、思っていること・考えていることを自分の中で整理して相手に伝える技術だと思うんです。もっと教育に取り入れるべきだと思うんだよな~。

意見を伝える訓練とでもいうか。

僕だって今でもうまく伝えられていないことは多々ありますが、要は、肝心な点が伝わればいいんだと思っています。

流暢に話すのときちんと考えが伝わっていることはまた別ですし」


─なるほど。


「あと、そもそも伝えたいことがあるかどうかが大事だと思います。誰かの発言に無自覚に染まってるだけなのに何か言った気になってる人も多いけど。

例えば結婚式のスピーチなんて、最低限相手との関係性とお祝いの気持ちが伝わればいいんだし、なんなら後者だけでもいいくらいなのに、うまいこと言おうとするほうが目的化しちゃって、どこかで見たようなお笑いもどきに走っちゃうとか、全然良くないわけですよ」


─そうですね(笑)。


「あと、普通の会話している時に、『あ、今、噛んだ!』とか言ってくるやつって、バカじゃないのって。言い直せばいいだけの話でしょ」


─アハハ! 確かに。では、宇多丸さん流の映画評の極意とは?


「う~ん、人間と同じで映画はそれぞれ違うので、何か特定のメソッドを当てはめれば済む、っていう話ではないんですが。

まあ、その映画をどういう言葉で語れば一番相応しく伝わるのか、ギリギリまで探る、ということですかね。

その意味では毎回試行錯誤ですよ。

映画というのは、ひと通り観終わってから、振り返って思い出したときにその人の中で立ち上がる主観的体験だろうとも思うので、そこをどう説得力をもって言語化して、他の人に共有してもらうか。

毎週自分なりに考え抜いてやってはいますが、相変わらず反省も多いです」


─ラジオでの映画トークは毎回引き込まれてしまいますが、いつも台本を書かれているんですか?


「本番前三時間くらいかけて作る手書きメモが台本代わりです。

でも、映画館でメモは取らない。

書いている音がうるさいというのもあるけど、自分で“感じた感じ”を記憶に留めておいて、言語化は最後にとっておきたいんですよ」


─なるほど。


「あと、映画って1回目に観るのは当然初めてじゃないですか。

でも2回目も2回目として観るのは初めてで。結局、何回目でも初めてなんですよ(笑)。

何回観ても全然違う。

ちなみに僕は、1回目より2回目のほうが断然面白い。

『1回目でなぜこう感じたのか?』の答え合わせができるんです」


─なるほど! わかりやすいっす! 宇多丸さんは「この映画のここを、こうした方がよくね?」など、改善案まで出されまよね(笑)。


「もちろん作っている人からすれば、余計なお世話だよ! って話ですけど(笑)。

まあ、自分でもモノを作っているから、作り手が制作途中で無数の取捨選択をしたであろう、そのプロセスに興味があるんですよね。

創作の大変さはわかっているからこそ、自分ならどうする?と常に自問してしまうんです。

だから、お前は料理できないのだから味に文句言うな的な論理は、少なくともプロの言うこととしては、やはりダメだろうとも思うんですよ。

そういうこと言う人は、きっと仕事ができない(笑)。

素人だってこれはマズいってことはわかるんだし、ユーザーのリアクションから何かをフィードバックして向上しなきゃって意志がないわけだから」


─アハハ! そのとーりですね! では、最後にVVmagazine読者にメッセージを。


「今の人たちは表現のツールや場、お手本がいっぱいあるから恵まれているとは言えるけど、それは反面、厳しいことでもありますよね。

表現しないこと、もっと言えば成功しないことの言い訳ができないわけですから。

逃げ道がない。

例えば、いつかヴィレヴァン的な文化の中に入りたいと思っている人たちって、いっぱいいると思うんですが……でもやっぱり、まずは一歩踏み出して、とりあえず何かを“やる”しかないんだよな。

そうやっていろいろやっていくうちに、『自分にこれは向いている/向いてない』が見えてくるものだから。

自分が目標としていたもの以外が意外とハマりがよかったりすることもあるし。

とにかくいっぱいトライして恥かいて、学んでくしかないですよ。

いろいろやって努力しろ!……って当たり前ですみません(笑)」


─さすが! ありがとうございます。


「あと、例えば就職するからとか云々というのは、今の時代、やらないことの言い訳にはならないと思います。

そもそも夢や趣味って、純粋にやりたくてやっていることのはずでしょう。

もっと言えば、ライムスターもそうですが、やり続けることですかね。

やめさえしなければ、上手かろうが下手かろうが、そのうちなんか立派な人になるんです(笑)。

僕程度の才能でも、それなりになれます(笑)」


やはり、この人に取材してよかった。

聞きたいことは山ほどあり、たった1時間では足りません。聡明で穏やかでユーモア溢れて、ダンディーな人。

そして、永遠にしゃべっていたい人。

そんなレジェンドに、またご登場いただきたーい!!

  • 本記事はVVmagazine vol.70に掲載されたものの転載です。

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