ヒマつぶし情報
2019.08.30
ヴィレッジヴァンガード百合部への道『生のみ生のままで』
このコラムは2019年8月25日発行VVmagazine vol62に掲載された記事の転載です。
VVmagazine vol62に掲載した文章に誤りがございました。正しくは下記のとおりです。

今回は趣向を変えて小説を紹介させていただきます。綿矢りさ先生の『生のみ生のままで』です。実はこの作品は先日、百合文壇バー(@yuribundanbar)という百合を語らう場で行われた『綿矢りさ先生特集』にて紹介され、すっかりハマってしまい、翌日から2日間で一気に読み切ってしまいました。
逢衣(あい)と彩夏(さいか)は、互いの彼氏が地元の友達同士。リゾート地にて初めて出会い、最初こそぎくしゃくしていたものの、互いの彼氏を含め4人で遊ぶうちに徐々に距離を縮め、東京に帰ってからもふたりで会うような仲になる。
先の百合文壇バーでこの作品の一節を紹介されたときに、文章があまりにも美しくて思わず酒を飲む手が止まりました。
“彼女と触れ合っている部分がずっしりと熱く、想いの強さが伝わってくる。彼女の細くしなやかな髪が私の首に降りかかり、甘くまろやかなベリーの香りに包まれる。”
女性同士の身体が触れ合う表現がこんなにも美しくてエロティックなものかと、衝撃で私の心はぶるぶる震えました。これは全部読むしかないと。私が普段読むのは漫画のほうが圧倒的に多かったのですが、活字を読み物語の情景を思い浮かべるのもとてもおもしろく、漫画を読んでいるときとはまた違った楽しみがありました。そしてなんといっても読みやすいので、普段小説を読まない人にもぜひ読んでいただきたいです。
本記事はVVmagazine vol.62に掲載されたものの転載です。