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ヒマつぶし情報

2019.08.22

【VVmagazine】まんきつさん(「まんしゅうきつこ」改め)が「ドロドロの道」を選ばなくなった理由

このインタビューは2019年7月25日発行VVマガジンvol61に掲載された記事の転載です。

 自身や家族に起きた普通じゃない出来事を独自の視点で描いたブログで一躍注目を浴びるも、ストレスからアル中になり、”自虐的”な道を突き進んでいたまんしゅうきつこ(現・まんきつ)さん。しかし、その後サウナに通い、合法的にラリることで心や生活に意外な変化が…!

そんな体験を描いた漫画『湯遊ワンダーランド』(雑誌『SPA!』での連載)の最終巻が発売された記念に、ご本人にインタビュー。現れたまんきつさんはキラキラと輝いていて負のオーラは一切なし! その訳は…?

──VVm二度目のご登場、ありがとうございます!

(編集Tを見て)「あ、左右の手相がますかけ線(強運といわれる珍しい手相)の方ですね! よろしくお願いします」

──(編集T)覚えていてくださったとは…恐縮です! ところで最近、「まんきつ」さんに改名されたんですね。

「そうなんです。連載最終話の掲載後に改名しました。サウナに通い続けて心の毒が抜けたこと、さらに今年1月からカウンセリングに通って自己肯定感が生まれ、『まんしゅうきつこ』という自罰的なペンネームはやめることにしました」

──まんきつさんの口から「自己肯定感」という言葉が出るとは…驚きです。

「本当ですよね。人から『自虐的な漫画』と言われることが多かったのですが、私自身何が自虐的なのかわからなくて…。自分の身に起きたことをそのまま書いていただけなので、『自虐』と言われるたびに『自虐じゃないよ!』と思っていました。私は何でも頭ごなしに否定するような親に育てられ、そのせいで自己肯定感が低くなっていたのですが、そのことに今まで気づいていなかったんです」

──カウンセリングではどのようなやりとりが?

「カウンセリングの先生に『よく生きてたわね…』と言われ、『私、そんなにひどかったんだ…』と思いました。先生がおっしゃるには、人って、小鳥がさえずっているきれいな道とドロドロで足場が悪い道を前にすると、きれいな道を選ぶものなんだそうです。でも、私はドロドロの道を見て『あ、何度も通ってきて知ってる道だ!』と進み、つらい目に遭って『やっぱり自分はだめだったんだ』と感じて安心するということを繰り返していた、と。でも、カウンセリングを通して、先生がきれいな道のほうに誘導してくださるおかげで、今は『ドロドロの道はやめよう』と判断できるようになりました」

──自虐的でなくなると漫画がつまらなくなるかも…という葛藤は?

「よく『作者が幸せになると作品がつまらなくなる』と言われますけど、違うと思うんです。作者本人が『楽しい』『幸せ』と思いながら漫画を描くほうが、作品は絶対的によくなると実感しているので。『作者が不幸なほうが作品はおもしろい』という思い込みはなくしていきたいですね」

──最終巻では、まんきつさんが「ここに居続けたらそのうち死を選ぶだろう」と言うシーンがありましたが、不幸になって作品が描けなくなったら元も子もないですもんね。

「私、そのとき壁に頭を打ち付けていますけど、本当は弟に腹が立ちすぎて、家の窓から飛び降りてしまおうかと思ったんです。でも思いとどまってよかったぁ…! と今なら思えます」

──え、そんな葛藤が…! そして、漫画のにあるこの流血も実話なんですね(絶句)。

「はい、本当です。いまだに壁に頭打ち付けたときに額に出来た傷が残っているんです。ほら、ここ髪が生えてこないんですよ(と、額の傷をぐいぐい見せるまんきつさん)。プロレスラーっておでこをよく流血するなぁと思っていたんですけど、本当にめっちゃ切れやすいんですね(笑)。今は弟の家から引っ越して、着信もLINEもブロックしているので、すっっっごく平和です」

──これまでの漫画を読むと、ケンカしながらも弟さんはなくてはならない存在なのかと…。

「助けられたこともありますし、気を使った描き方をしていたんです。実際の弟の言動はもっとひどいので、精神的に追いつめられたこともありました」

──つらい体験を漫画として表現することも毒抜きになりましたか?

「う?ん、漫画を描いて毒抜きはできないのですが、唯一スッキリしたのは最終話を描いたときですね。言い方は悪いですけど、『親を捨てる』と宣言したことで毒が抜けた。怒ると壁掛け時計で殴り掛かるような恐い父だったのですが、3年前に脳梗塞で体が不自由になったので『たとえこのシーンを父が読んでも、私は殺される心配がない!』と思えました(笑)。これまでは恐くてずっと描けなかったんです」

──意外でしたが、清々しい最終回でした…! 今サウナへはどのくらい通っているんですか?

「週4回くらい。朝からやっているサウナが徒歩圏内にないので、近くのサウナに夜に行っています。最近忙しくてサウナに行けなかったら食が細くなって、本当に行かないとだめだなと実感しました。昨日久々にゆっくり入ったら、ぜんっぜん違う…毒が抜ける! 私は水風呂から出た後、水を頭からめっちゃかぶるので、穢(けが)れを落とすために行う滝行と同じような効果があると思うんです。水風呂が苦手な方は水をかぶるだけでもいいと思いますよ。家でも塩と酒を入れたお湯に浸かって、最後に冷水のシャワーを浴びています」

──水風呂が苦手なので、冷水シャワーやってみます! それでは、最後にVVm読者にメッセージをお願いします!

「最近、心理学の本をたくさん読んで、毎日気分よく幸せな状態でいることがいかに大事かわかったんです。なので、そういう状態になれるような方法を自分で見つけてほしいですね。私の場合はサウナでしたが、食べ歩きでも何でもいいので、逃げ場のような居場所をひとつでいいから見つけておくことが大事だと思います。サウナ中も仕事のことを考えてしまうんですけど、水風呂と交互に入って、休憩所で外の風に当たって、ふわぁ~っとラリってるときは何も考えなくなります。シンナーとか吸ったことないですけど、こんな感じなのかなと(笑)。普段常に気を張っているけど、この瞬間は人前で全裸なのにゆるみまくる。このときの感覚が最高で、だからサウナって人にすすめたくなるんだと思います。休憩所があって、できれば露天で自然の風に当たれる場所のあるサウナだとすごくラリれますよ! 合法的にラリッって、心の毒を抜きましょう!」



埼玉県出身、漫画家。2012 年に始めたブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目される。

2015 年に刊行した自身初の単行本『アル中ワンダーランド』(扶桑社)他、著書多数。


本記事はVVmagazine vol.61に掲載されたものの転載です。

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