ヒマつぶし情報
2019.05.28
リプライで送られた画像で『ない本』を作ります。←ナニソレ??? 『ない本』の作者・能登たわしさんが気になる!
このインタビューは2018年11月25日発行vvマガジンvol53に掲載された記事の転載です
リプライで送られた画像で『ない本』を作ります」。
こんなツイートをタイムラインで見たことはないだろうか。
その文章のとおり、届いた一枚の写真を、文庫本風の装丁とそのデザインに合ったタイトル&あらすじをつけ、世には発売されていないけどありそうなそれっぽ~~~い『ない本』を作るのだ。
その完成度たるや感動もん。
なんでもない道端に落ちているフライパンの写真が、『覇王の残飯』というタイトルを持ち、ファンタジー小説に早変わり。
発信しているのは、能登たわしさん。
普段は会社員として働く傍ら、読み物サイト「ひざかけちゃーはん」を運営しているという、謎に包まれたお方。
なんで『ない本』を作ったの? てかそもそも何者なの? などいろいろ聞いてみました!
──では、『ない本』を思いついたきっかけから聞かせてください。
自分が運営している読み物サイト「ひざかけちゃーはん」で、初期から続いている企画に「くそひともじ」というものがあります。
これは「投稿された何でもない写真に短歌をつけてステキな写真に蘇らせる」という趣旨で、短歌をやっている友人の宇野なずき(@unonazuki)さんに書いてもらっています。
自分でも同じような企画をやりたかったのですが、短歌の素養もないし、何も思いつかないまま1年以上が経過。
最近になって多少デザインができるようになったのと、小説の技術はずっと研鑽していたので、そのふたつを合わせたところ『ない本』にたどり着いたんです。
──小説の技術を磨いていたというと…?
実はもともとミステリ作家を志していて、新人賞の最終候補に残ったり、短編が雑誌に載ったりとあと一歩のところまではいっていたのですが、チャンスをモノにできずくすぶっているのが現状です。
──なんと!ミステリー作家志望だったとは!
『ない本』のあらすじのなかでも、ミステリーのものはだいたい短編まで書けるのでどこかの出版社が「小説出さない?」と声をかけてくれたらいいな、なんて下心もあったりで。
(世の出版社さま! お声がけお待ちしております!!)
──装丁もまさに小説ですよね。
装丁やデザインは全部独学です。
きちんとした技術や知識があるわけではありません。
唯一誇れるのはちゃんとアドビにお金を払って最新版のillustratorを使っているところですかね~。
高いだけあってすごいんですよ。
──あの完成度の高さは、見つけたとき衝撃でした。『ない本』はかなり労力がかかる作品なんじゃないですか?
ん~そうですね。
基本的にはリプライで送ってもらった画像の一覧を眺めて、デザインして、タイトルと著者名を考えつつジャンルを決めて、写真に写っていたもの(鳥なら鳥)をテーマにあらすじを考えて…と。
ネットではウケなかったものは全部なかったことになるので気が楽なんです
──めちゃくちゃ工程ありますね。大変そう…。
なんでこんなことをしているのか自分でもあんまりよくわからないんですが、常に何かしてないといけないんです。
だから、見られる見られないに関わらず普段から何かを書いたり作ったりしています。
デイリーポータルZ編集長の林雄司さんも書いてましたが、ネットではウケなかったものは全部なかったことになるので気が楽なんです。
──生粋のクリエイターじゃないすか…!
『ない本』も「ひざかけちゃーはん」の企画の一環で始めたのですが、そもそもなんで「ひざかけちゃーはん」なんてサイトを運営しているのかもよくわかりません。
楽しいからですね。『ない本』も楽しいです。よかった。
──楽しいっていいですね~(しみじみ)。
複数のウェブメディアやテレビ局からも取材していただいたり楽しいですよ。
Twitterのフォロワーも増え続けてまして、作る画像もたくさんの中から選べる贅沢な状態になっていて、画像を送っていただいている方々に感謝です。
──いつか『ない本』の小説が出版されるのを楽しみにしてますね。
実は、『ない本』の本を出すお話を出版社からいただいているので、順調に作り続ければ、半年か一年後かに本が出る予定です!
そのときにはぜひ買ってください!
──まじすか!(フリみたいになっちゃった) 絶対買います!!ありがとうございました!
なんの変哲もないシュールな画像が…
能登たわしさんの手にかかれば、こうなるのだ!!
あらすじもリアル。「期待の新星が送る愛と絶望の料理小説」って気になる?(笑)