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ヒマつぶし情報

2019.04.09

人類みな「トモダティ」!なんだか自由で新しいバンドtomodatiができるまで

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最初は「何かオモロイの出てきたぞ」というくらいの印象だった。

tomodatiと書いて、トモダチではなく「トモダティ」と読む。

という時点で「……ティ?」ってなるし、音はちょっとジャンクなエレクトロって感じでMVもなんかぶっ飛んでて。

で、インスタフォローしたら速攻でフォロバしてくれたので「どうやらいいやつらっぽいな」と思っていたら、そのあとドロップされた『ロックスターになれなかった』という曲で不覚にも泣いた。

あまりにもピュアで真面目でエモいメッセージがダダ漏れだったからだ。

なんでいきなり夢破れた人すべてを抱きしめるような歌を歌ってるのよ、tomodati。


で、気になりすぎたので直接話を聞くことにした。「tomodatiって結局何なんですか?」と尋ねたらば、浮かび上がってきたのは挫折と運命の日々、そして「何にもなかった人たち」が真剣に世界平和を願うに至った物語でした。

―― そもそも音楽をやろうと思ったきっかけは何だったんですか?

中村「中学のときにキックボードが超流行ってて、キックボードを買うかギターを買うかで超悩んだ挙げ句、決断してキックボードを買いに行ったんすよ、立川に。でも人気すぎてどこも売り切れで、仕方なくギターを買ったのが今に至る始まりです。キックボード買わなくてよかったですね」

――音楽をずっとやっていこうって思ったのはいつ?

中村「うーん、俺、得意なものがひとつもなくて。元々は漫画家になろうかなって思ってたんです。でも学校に自分よりめちゃめちゃ絵が上手い女の子とかいるじゃないですか。そういう子を見て『こんな田舎の町のたった40人の中で1位になれないんだったら無理だな』って諦めたんですよ。

だけどキックボードじゃなくてギターを買って、高校でバンドを組んだら、その高校ではいちばんカッコよかった。それで『やっていけるかな』って」

実際わりとやっていけた中村は、テングインベーダーズというバンドでCDデビューを果たし、フジロックにも出たりもしている。

でもいろいろあってバンドは結局解散してしまう。

中村「前のバンドを解散した時に音楽もやめようと思ってたんですけど、ブレーキが効かないというか。ちょっとだけ就職もしたんですけど、その時もめっちゃ辛くて。

心の拠りどころが音楽を作ることだったんですよ。会社に行くときも早い時間の電車に乗って、座ってPC開いて音楽作って、どうにか精神を保つというか。

だから自分はすごく音楽に救われてるんです」

――音楽がそういうものだって自覚したのはいつ?

中村「いつだろう…。音楽を通してもらったものがすごく多いんですよ。俺、身体も小さいし、クラスの中心人物でもないし、自分は何もないヤツだと中学の頃はずっと思ってたんですよ。

だけど音楽をやったら友達ができたし、周りの人が俺に価値を見出してくれたっていうのがあるので」

運命というべきか、結局音楽に戻ることにした中村。

ひとりプロジェクトからスタートしたtomodatiは、紆余曲折を経て今の編成にたどり着いた。

元々一緒にバンドをやろうと考えていた藤井健司と、VJ未経験の状態でVJとして参加したsadakata。3人組としてのtomodatiの誕生だ。

sadakata「私はむつおさん(=中村)がひとりでやってる頃からライブによく遊びに行ってたんです。で、私も自分の好きなことで何か表現をしたいなって思ってたところに、VJっていうものがあるのを知って、やってみたいなって。プロジェクターってどう使うんだろ、パソコン触ったことない、みたいなところから形にしていったといいますか」

―― アルバムでは歌ってもいるじゃないですか。

中村「そう。VJやってて歌ってるヤツいねえだろって。先にやりたいと」

sadakata「むつおさんは私にとってのビートルズみたいな存在なので……その彼が私に歌を作ってくださった、人生の幸せ…『生きなきゃ』みたいな」(目がキラキラ)

――リスペクトが半端じゃない(笑)。藤井さんは?

藤井「TwitterのDMがポーンって来たんですよ。『健司くん、バンドやらない? ベース弾いてよ』みたいな軽い感じで。その場で『おもしろいね、いいよ』

って返して。

元々彼の作るトラックは聴いていて、いいなと思ってたんで。それでバンドとしてはなくなった後も、手伝えることがあるなら全然やるよーって」

中村「健司くんは俺が『こういうことやりたいんだけど』ってことに対してちゃんと客観視してくれる。アイディアをまとめて、スケジュールも立ててくれたりとか。もちろん演奏面でも参加してるけど、企画のまとめ役としてバンドの欠かせない要素となってる。

『1000%』のMVは3人の力だなと思うんです。KinectでMV作らないかっていうアイディアは健司くん発信なんですよ。プログラミングも健司くんがやって、ディレクターをsadakataがやって、音楽を俺が作って。バンドとしての表現になってるんですよ」

――そういう意味で、tomodatiは楽器は持たないけどやっぱ「バンド」なんだと。

中村「音楽的にはバンドミュージックじゃないけど『バンド』だって言い張ろうかなって。こういう形態のバンドって増えてくと思うんですよね」

要するに、バンドってこうじゃなきゃいけないとか、こうなるにはこういう道筋を辿らなきゃいけないとか、そういうのは関係ないのだ。ロックスターになれなくても表現はできるし、普通のバンドは無理でも違う形でロックすることはできる。それがtomodati。そういえばこのバンド名も―― 。

中村「みんな『トモダティ』になろうっていう。友達じゃなくてトモダティ。『喋ったことあるけどこいつ名前なんだっけ?』ってヤツいるじゃないですか。みんなそれくらいの関係になれば世界から争いは消えるなって。

俺、自分がそうだったからかもしれないんですけど、生きるのが辛い人多いなって思ってて。そこに対して、ポジティヴな気持ちになってくれればなというのはあります。みんなに幸せになってほしいなって」


友達ではなくトモダティという軽さで、自由にやりたいことをやれる世界。tomodatiが目指す平和とはそういうものなのかもしれない。いいな、その世界。


渋谷・六本木を中心に活動するエレクトロオルタナティブバンド。

メンバーは

中村むつお( 写真中/ V o i c e 、Cho、DJ)

sadakata(写真左/VJ、Vo)

藤井健司(写真右/Syn,、Perc、Cho)の3人。

1月23日にファーストアルバム『tomodati』(2200円+tax)をリリース。

記事元

こちらの記事は、ヴィレッジヴァンガード公式フリーペーパーVVMagazine vol.57で読む事が出来ます。

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