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ヒマつぶし情報

2018.10.26

え、え、これ、刺繍!!刺繍画家ipontさんにいろいろ聞いてみた。

とんでもない域まで極めちゃった理由が知りたい。

のび~るお餅やラーメン、本物そっくりの野菜や果物など、あまりの緻密さに「こんな刺繍、見たことない!」と驚愕してしまうipnotさんの作品。

お話をうかがうと、ひたすら糸の粒を作っていくという一見地味な制作とは対照的に、ipnotさんの刺繍への情熱はすごかった…! 

作品の写真とあわせてじっくりご覧あれ!


── ipnotさんは絵画や手芸がお好きなご家族のもとで育ったそうですが、刺繍画家として活動されるきっかけは何かあったんでしょうか?


幼い頃から祖母の刺繍をそばで見ていて、その姿や作品にとても憧れていました。

きっちりと綺麗に縫われた刺繍は芸術品のようで、見ているだけで幸せな気分になったんです。

ずっと見る専門だったのですが、初めてシロクマをざっくりと自由に縫ってみたとき、手の届かない存在だった刺繍がとても身近なものに感じられて。

それ以来すっかりはまり、刺繍を始めて今年で6年になります。

ipnotとしての活動当初は刺繍以外の作品を制作し、アートイベントによく出ていました。雑貨やアクセサリーなどを作って販売していたのですが、空き時間も多く…。

そんな時、こっそり刺繍をしていたらどんどんと人が集まってきてオーダーまでいただいちゃって。

突然のことに驚きましたが、とても嬉しかったのを覚えています。

刺繍作家としてスタートするきっかけになった忘れられない1日です。

──刺繍の縫い方にはいろいろあるようですが、ipnotさんがフレンチノットという縫い方を選ばれた理由は?


フレンチノットは刺繍針に糸を巻きつけて玉止めのようにし、糸の粒を作るステッチです。

針に糸を巻きつけて布に刺す。

このワンクッション挟んだ一定のリズムを繰り返す動作は、静かな時間と落ち着きをもたらし、創造することの楽しさを思い起こさせてくれるんです。

粒自体とても小さく柔らかいので、小さなサイズの刺繍を作る際もディテールに凝った作品が作れます。
ドットが集まって重ねていくたびに表情が変わる…という刺繍の過程も魅力の一つ。自由度も高く、魅力を語りはじめたら止まりません! まだまだあります(笑)


──下絵やラフなどは描いているんですか?


はい、下絵は描きます。デザインによってはかなりラフに描くことも。

下絵を埋めるように最初は塗り絵のような感覚で、ある程度糸の粒で埋めていきます。

埋まった後は、写真や実物などの参考の素材をじっくり見ながら、絵を描くように糸を重ねていきます。

実物に近づけるためにしっかりと観察することを心がけて。

目視だけでなくレンズを通しての客観的な視線も取り入れながら納得いくまで縫います。

──いくつも糸を重ねて、あの完成度になるのですね! 500色もの刺繍糸から制作されているそうですが、1つの作品に何色くらい使っているのでしょう? 

今までに一番刺繍糸を多く使用した作品は?


使った糸は数えていないので正確にはわかりませんが、年々増えています。

作れば作るほど凝りたくなってしまって。

以前は2~3色でグラデーションを表現していた箇所も、今は倍は使っているんじゃないかと。

刺繍が乗ってくると『あの色もこの色も』と次々と刺繍パレットから糸を出して、あっちこっちに置いちゃいます。

気がついたら服に針がついていることもあって…危ないですよね(笑)。

一番多いかはわからないのですが、コピックの刺繍は大量に糸を使った記憶があります。

──陰影まで見事に再現されていて、すごい立体的!! また、2015年から行っている「5O1embroidery(ファイブオーワン エンブロイダリー)」では501個を目標数に、さまざまな丸い刺繍を作っていますが、このプロジェクトを始めた理由は?


他のステッチも好きですが、フレンチノットを縫っている時だけ他と違うというか、活き活きしている自分に気がつきました。
徐々にフレンチノットだけで作品を縫いたいと思うようになり、刺繍で描く点描絵を、経験ゼロからスタート。

これが5O1embroideryの始まりです。

同じ大きさ(500円玉サイズ)、同じ手法で行うことで、継続的なアプローチによる刺繍の変化、質の向上、精神面への影響を探求すると共に、フレンチノットの可能性を広げる事をテーマに日々制作しています。

原動力はフレンチノットへの好奇心と探求心。

物の一部分だけを丸くトリミングすることで、自由な創造性と見えない部分への想像性を刺激します。

──なるほど~(深い!)。実は私、体験取材でフレンチノットをやったことがあるのですが、とても難しくて…。

粒が揃わず、ガタガタになったしまいました(泣)。何かコツなどあれば、教えていただけますか?


大事なことは、フレンチノットを縫う際に綺麗な粒を作ろうと意識しないこと。

もちろん綺麗な粒を作ることは目標ではありますが、最初から綺麗なフレンチノットを縫おうとするとなかなかできなくて、苦手意識を持ってしまうと思います。

私はフレンチノットを縫う動作が好きなので、最初はゴワゴワした粒ばかり縫っていましたが、それでも大満足でした。最初からうまく縫えていたら、きっと私ははまっていなかったんじゃないかなと思います。

『なんだこの変な形は?』と思う時間も楽しかったり(笑)。

まずは、縫う動作を楽しんでほしいと思います。フレンチノットは質より量をこなしていけば、自然と質も向上しますよ。

──ありがとうございます! では最後に、今後の目標や挑戦したいことを教えてください!


まずは個人プロジェクトの5O1embroideryを一つ一つ進めつつ、それと並行してその時に作りたいと感じたものを形にしていきたい。

アイデアは思いついた時が作る時だと思っています。

メモして後から作ろうとすると熱も冷めちゃって。人生の目標は先までしっかり考えるけれど、刺繍は別。今まで思いつかなかったことを明日思いつくかもしれない。

ラーメン刺繍のような3D刺繍も、刺繍を使ったストップモーションの映像制作も急に思いついたことなんです。

この先何を作るのかなと自分でも楽しみです。

刺繍画家。2011年より活動を開始して以降、テレビや雑誌などさまざまなメディアで注目を集める。

Twitter @ipnot

Instagram @ipnot

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この記事は、VVmagazine vol.51に掲載されたものの転載です。

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