ヒマつぶし情報
2018.11.28
縄文にドキドキする本ベスト3選!!

ティーンズのころは稲妻が走る本にたくさん出会った。伝綺ロマンの楽しさを叩き込まれたのは山風とモロボシだろう。山風はどこかカラッとした風を感じるのだが、モロボシはムワッとウェッティで生暖かく、曖昧なタッチが不安を煽る。日本神話、弥勒教をベースとしてオカルティックに構築された現代の貴種流離譚とでもいうべき暗黒神話は彼の作品の中でも最も粘度が高い。ま、縄文という切り口で語るならば神々の造形は一見の価値あり。オリオンを見ると七つのスティグマが疼きます。

『暗黒神話』
諸星大二郎 著/集英社

みなさん縄文人をバーバリアンみたいに思っとるかもしれません。学校のお勉強で縄文人は狩猟採集民であったと教わったでしょうがまったくの事実無根。縄文土器と一口にいっても種類も用途もさまざま、シンプルなものから、派手なものまで。時代を経るたび薄くより高度に変化していく。実用一辺倒な弥生土器とは違い、祭祀用に作られた土器は夜毎墓所に集い先祖の眠る土を踏みながら踊るための大切な道具であったと思われます。縄文時代のミームは生活の中にひっそり息づいています。

『縄文土器ガイドブック―縄文土器の世界』
井口直司 著/新泉社

実はわたくし日本の密教美術の呪術的展開なるものを大学時代から一つの研究対象として生きておるのですが、視野狭窄になるのを嫌い哲学はもちろんのこと民俗学や人類学に触れ、数々の示唆を得てまいりました。かのレヴィ=ストロース先生が日本の独自性についてコメントされた中に「縄文時代の記憶を持っている」といった内容があったと覚えていますが、このことを最も体現しているのは中沢先生ではないかと思います。名作の中でも代表作にふさわしいのでぜひ一読を。

『精霊の王』
中沢新一 著/講談社

加藤清希(33)
本店次長/愛知県在住
北アルプス常念岳登頂。稜線から一望できる北アルプスは格別。
槍はボス感に溢れて尖っていた。高山の清涼な空気を大量に吸引しての一服、日常からは得がたい、いい旅夢気分だった。
※プロフィールは雑誌掲載当時のものです。
『東京グラフィティ』#133(2015年10月号)掲載