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ヒマつぶし情報

2018.10.31

気付きのための本、超個人的ベスト3選!!

ゴミ捨て場に来ると思い出す小説。幾重にも重ねられた汚れ。得体の知れない液体が床を流れる。カテゴリ化できない大きな物体。混ざって一定を保つ臭気。どんなビルでも同じような汚れ方をする空間。建物の表面が美化されるほど、大きく膨らむ嘘を暴いている気になる。ポスターの美女の笑顔が引きつって見える。そんな劣悪な環境が主人公を押さえつける。物を考えることすら自分ではやっていないのかもしれない。大人たちのつく巧妙な嘘に飲み込まれそうなときに読んでほしい。


『一九八四年』
ジョージ・オーウェル 著/早川書房


「築40年の和室をDIYでカフェ風インテリアにリメイクしちゃいました!」的、力技が嫌でたまらない。もちろんいい点もある。手作りはエコだし、楽しい。住み処は快適になる、異性にモテる、等。だが洋室に住めなかった自分の不甲斐なさ情けなさが、押し入れに貼ったれんが風の布から染み出してきて、なんだか余計ミジメになりそうだ。「闇」を造って美を見出す計算された演出。そして生まれるひとかけらの雅。張り合うのがつらいのなら違う角度から攻めてみよう。


『陰翳礼讃』

谷崎潤一郎 著/中央公輪社

炊飯できる土鍋を頂いてから、私は少し自信がついた。7年ほど前、上司が結婚祝いに贈ってくれたものだ。お鍋でおいしいごはんが炊ける安心感。機械に頼らない誇らしさ。自分の舌を信用できるようになり、炊飯ジャーは姿を消した。湯気の向こうに幼い頃の記憶が蘇る。炊きたての熱いごはんをすばやくおにぎりの形に握ってゆく母。真っ赤になった手のひらを心配すると、「大丈夫、皮が厚いけん」と笑顔で返ってきた。熱い熱いごはんを素手で握られるようになるまで、母には敵わない。

『バナナは皮を食う 暮しの手帖 昭和の「食」ベストエッセイ集』

壇ふみ 選/暮しの手帖社


志岐きよ(32)
福岡県在住/イオン大野城店店長
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※プロフィールは雑誌掲載当時のものです。

『東京グラフィティ』#135(2015年12月号)掲載

東京グラフィティ

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