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ヒマつぶし情報

2018.10.03

思想系ダークサイド本ベスト3選!!

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伊藤野枝と駆け落ちの末に結婚するも、稀代のアナキスト大杉栄のところに逃げられたちょっと情けない男。世間一般の辻のイメージは変人扱いである。彼が何に絶望し、尺八片手にデスペラードの道に踏み出したのか? 彼を考えると、20世紀の文学が置き去りにしてきた問題が浮かび上がる。釈宗演風に言ったら「父母未生以前の本来の面目如何」と同時に辻が愛読した『歎異抄』だということ。文中で売文と嘯きながらも、ダダと放浪に生きた唯一者辻潤は、僕にとってかっこいい男。


『絶望の書・ですぺら』

辻潤 著/講談社


辻に長すぎると一蹴された無二の国産哲学。難読書とされているが、日本語で書かれていないだけで、別にアサッテの話をしているわけではないよ。日本の思想と救済の理想的な結婚を哲学でもって成そうと生涯を捧げた西田の最初期の論文で、映画でも初監督作品は何でもぶち込み過ぎてアレな感じになるのと同じく、とにかく詰まっている。善の研究が素晴らしいのは純粋経験に立脚しながらも西田らしい哲学的構築が成され、愛の件で沸点に達して読みながらにして悲観的浄化を得られる。


『善の研究』

西田幾多郎 著/岩波書店

とりあえず代表作のコチラを。梅毒超人アバターことニーチェ大先生よろしく強烈なアフォリズムで繰り出す怒濤の鬱連打は、まともな社会人が読めば毒にやられて引きこもりになる等症状がでるので取扱い注意。しかし極々一部の選ばれたヒネクレ者には万年不眠症の男の言葉が福音書となるのも事実で、絶望の奈落の底から見上げる希望を見出したなら、シオランは人生の良き先達となるでしょう。本当に読むべき本は少ない。下手な自己啓発本でお茶を濁すくらいなら賭けてみないか、人生を。

『生誕の災厄』

E.M.シオラン 著/紀伊國屋書店


加藤清希(33)
本店次長/愛知県在住
山でヒザを故障。飯と温泉につられて行くのだから相変わらずの痴れ者で、痛み止めまで服用して下る始末。十石山はマイナーだが素晴らしいところだった。

※プロフィールは雑誌掲載当時のものです。

『東京グラフィティ』#134(2015年11月号)掲載

東京グラフィティ

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