VILLAGE VANGUARD
  • フォロー
  • イベント イベント
  • オンラインストア オンラインストア
  • 店舗検索 店舗検索

ヒマつぶし情報

2018.06.05

DOTAMA自叙伝『怒れる頭』から彼の人生を変えたエピソードを限定無料公開!

孤高のラッパー・DOTAMAの人生を変えたのは、映画だった。

ヴィレッジヴァンガードweb 限定で、
発売中のDOTAMA自叙伝『怒れる頭』より
第4 章『上京』から【上京を後押しした映画】エピソードを公開!

【上京を後押しした映画】

 自分は映画が好きで、様々な映画を観てきた。

値観を変えるきっかけになった映画は沢山あるが、その1つがマイケル・マン監督の『コラテラル』だ。

 マン監督の映画は、『インサイダー』『アリ』『ヒート』『ラスト・オブ・モヒカン』などほぼ観ている。共通して描かれるのは、ライバルや権力、社会の問題や敵に立ち向かう「戦う男たち」だ。そして監督の撮る美しい夜景。夜景の撮影において、アメリカの映画監督では右に出る者はいないのではないかと思う。


 そんなマン監督の代表作の1つが2004年公開の『コラテラル』だ。公開時に1度映画館で観ていたが、2度目に観た時、自分は大きな影響を受けた。それは自分が、サラリーマンを辞めて音楽に打ち込もうか悩んでいた、2012年の春のことだ。


 この映画の主人公はジェイミー・フォックス扮する「マックス」というロサンゼルスのタクシードライバー。彼はある日、トム・クルーズ扮する「ヴィンセント」という乗客を乗せる。不動産の仕事で来たと言うその男は「600ドル出す代わりに一晩、タクシーを貸切らせて欲しい」と言う。だが実はこのヴィンセントは殺し屋で、マックスはその殺しの仕事に巻き込まれていき……というあらすじだ。


 この映画でヴィンセントは、印象に残る台詞をいくつか残す。

「生き死にに、良い理由も悪い理由もない」

「人口1700万。世界第5位の経済都市。住民は互いに無関心。ロスの地下鉄に乗って死んだ男がいるそうだが、死んだと気づかれないまま6時間も電車に乗りっぱなし。何人も死人の隣に座ったのに、誰一人気づかない」


 劇中、マックスは「タクシードライバーは腰掛けで、この仕事で稼いだ金を元手にリムジン会社を立ち上げたい」と話す。ヴィンセントに何年やっているのか聞かれると

「12年」

と答える。

 映画を見ている誰もが思う。12年は長い。そんな観客の気持ちをヴィンセントは代弁する。クラブでの銃撃戦の後、タクシーの車内でのシーンだ。マックスに言い放ったヴィンセントの台詞に、自分はハッとした。

「自分はどうだ。タクシーを小綺麗にして夢はリムジンか。いくら貯まった? きっといつかは夢が叶うって? そうしてある日ふと気づくのさ。夢は叶わないまま、いつの間にか歳をとった自分に。叶わないのは自分が何もやろうとしなかったからだ。夢は記憶の彼方に押しやり、肘掛けイスに揺られ、1日中ぼんやりとテレビを見て過ごす。自分を殺してるも同然だろ。リムジンなんて頭金作って踏み出せば良かったんだ。なぜいつまでもタクシーに乗ってる?」

 それが図星だったマックスは車を暴走させる。「殺し屋」という異常な仕事をしているヴィンセント。だが、6年間一度も仕事に失敗していない彼の言うことは正論だった。やる気のなさ、行動力の欠如を指摘されるマックス。ぐうの音も出ないほど論破される。そのシーンはバックミラーに映る、後部座席の角度からヴィンセントの視線が映されている。

観客の我々がヴィンセントに見透かされているような感覚に陥るシーンだ。


 そのワンシーンに、当時の自分の立場がシンクロした。このままホームセンターで働き続けるのか?それとも音楽に打ち込むのか? 最も葛藤していた頃だった。

 年齢は27歳。田舎の中小企業は若い人材が少ないため、健康な30代前後の男性社員は、管理職になることを徐々に求められる。

 当時の上司にも「福島君、危険物取扱者の資格を取らない?」と言われた。危険物取扱者の資格を取得すると、チーフを任せることができる。「役職」を与えられれば、より会社にとって使いやすい人材になる。その一歩を踏み出してみないか、管理職を目指さない

かと言ってもらったのだ。

 会社員としては有り難い、嬉しいお話だった。必要としてもらえているのだ。だが悩んだ。自分は会社員として働きたいのか、ラッパーとして音楽を作りたいのか?ヴィンセントの台詞に、自分が何をしたいのか。何をすることで生きていきたいのかを改めて考えさせられ、決断を促されたのだった。

ラッパー。栃木県出身。ULTIMATE MC BATTLE 2017全国大会チャンピオン。

TV番組「フリースタイルダンジョン」を 筆頭にMCバトルに多数出場。

数多くのインパクトと成績を残す。 

現在までにソロ作品3枚を含め9枚のアルバムを発表。 現代社会を前向きに、時にシニカルに。卓越した音楽性とスキルフルなラップで表現する。 

2018年3月、3rd Album「悪役」を発売。4月に恵比寿LIQUIDROOMにて開催したワンマンLIVE「ニューワンマン3」を成功させる。

関連情報

怒れる頭 特設サイト: http://dotamatica.com/ikareruatama

関連記事

もっと見る