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ヒマつぶし情報

2018.05.17

【裏話てんこ盛り!】SPECからSICK'Sまで語り尽くす!堤監督×植田P クリエーター魂対談

心臓が息の根を止めるまでひた走れ… クリエーター魂を語り尽くす!

4月よりスタートした新動画配信サービス「Paravi(パラビ)」にて
独占配信中の『SICK'S 恕乃抄(シックス・じょのしょう)~内閣情報調査室特務事項専従係事件簿~』。

この『ケイゾク』、『SPEC~警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係事件簿~』シリーズの
続編にして最新作となる本作でメガホンを取るのは、ご存じ堤幸彦監督。
コンビを組むのはもちろんこのお方、堤監督の盟友、TBS植田博樹プロデューサーだ。

過剰なまでの情報量と作り込んだ映像、MVのようなキレのある流れと音楽。
濃いキャラ。
そして小ネタの数々…。
そんなお2人の作品が大好物のVVが、ドラマの裏側、熱きクリエーター魂に迫ります!


――まずは、シリーズの発端となった『ケイゾク』の成り立ちから聞かせて下さい。


 最初は植田さんの「社内(TBS)をひっくり返したい」という言葉から始まったんですよ。言うならば〝社内=日本全体?ですよね。


植田 さすがにそれは大げさですけど(笑)。でも、ドラマ全体が過渡期を迎えてた頃で(『ケイゾク』は’99年の放送)。「日本のドラマを変えたい!」という思いはありました。


 だから視聴率とか、そういうことじゃないと。とにかく新しいことをやりたい。人が驚くことをやりたいんだと。そんな言葉をTBSの1階の喫茶店でガーンと突き付けられた時に「あ、この人は本気だな」と。


植田 それまでの、TBSでのドラマ作りのフォーマットが支持されなくなったんじゃないかなという危機感もあって。


 私は私で、まんじゅう工場みたいに判で押したような連ドラを量産するドラマ作りの体制に違和感があったし、テレビが隆盛を極めた’70年代に学生をやってた人間ですから、’90年代当時のメジャーテレビが持つ表現の幅の狭さに窮屈な思いをしていて。そんな中、日テレが5年間(『金田一少年の事件簿』などの〝土ドラ"を)何クールもやらせてくれて。実験的なことを山のようにやらせてもらえて楽しかったものの、原作ものも多く…こう言うと怒られちゃいますけど、どこか消化不良感があったんですね。


植田 TBSにしても、ドラマの種類はもう飽和。予算もスタッフも決まった中で同じことを繰り返しやってる。果たしてこのままでいいのか…。それで局の垣根を越えた人たちとやってみたい。TBSでは考えられないことをやらなきゃと思ったんです。


 若きP(当時30代前半)が突然現れて、「社内をひっくり返したい」と息まくんですから! 「ついに来たー!」って。やりたい放題やらせてくれそうなプロデューサーが現れたぞと歓喜しました(笑)。


植田 (笑) とりわけTBSは保守的でしたからね。ヒットドラマが多かったからまだしも、やってること自体は20年来、30年来同じ旧態依然としたシステムでしたし。そこに先はないんだけど、堤監督が(TBSに)来てくれるとなった時も「あのやり方は邪道だ」とか言う人も大勢いて。「邪道も何も正道のやり方がすでにクラシックスタイルになった今の時代、それじゃ取り残されますよ!」と説明しても伝わらないから、とにかくやってみて。そう言ってる人たちに、実際に観てもらうしかなかったという。


 力技で押し切って(笑)。〝土9でやるようなことをTBSで…?と思わせておいて、裏では全然違うことを、確信犯的にやりました。


植田 それが今やTBSのドラマ作りに全部反映されていますからね。(一般的には)王道スタイルと思われている福澤克雄(『半沢直樹』などを演出)や石丸彰彦(『JIN‐仁‐』などを制作)の作品内でも、堤監督のもとで育ったチームの分派が最前線でやっていたりとか。そういう意味で堤監督が来てくれなかったら、TBSのドラマは死んでいたと思います。


 いやいや、そんな。買いかぶり過ぎですよ。


――あれから20年。配信というスタイルに踏み切った『SICK'S』はどんな思いで?


 『ケイゾク』の時は地上波という制約がある中でどう戦うか? 日本の、テレビ局の中で裏工作のようなドラマ作りをやってきて。日陰というか表通りではないところに、ある種のヒロイズムも感じてきたわけですが、あれから20年近くが経って。今度は海外のネット配信サービスが台頭してきた。日本に黒船がやって来たわけです。


植田 AmazonとかNetflixとか。


 もう四の五の言ってられない。じゃあ、何ができるのか? 我々はゲリラ活動をやり続けるべきだと考えたんですね。


植田 「配信のドラマは第1話に全予算の半分を注ぎ込んでるらしい」なんて噂話を聞いては参考にして。「メリケン(アメリカ)ではこんな風にやってるらしいぞ」とか言ってる薩長の田舎侍みたいな感じで作ってます(笑)。


 とはいえ、『ケイゾク』から続く作品群はライフワークですから。私の命が尽きるのが先か、『SICK'S』が尽きるのが先か。それくらいの覚悟を持ってやっていて。(放送回数が決まっていないことから)最終回まで何年かかるのかもわからないけれども、人生を掛けたロングタームの仕事になると思います。


植田 栗本薫を超えていただきたいです!(代表作『グイン・サーガ』シリーズは正伝130巻、外伝21巻を数える)。


 岡本喜八監督の歳まで撮り続けても、あと20年くらいしかない。急がなきゃ!(笑)


植田 僕個人の構想としては、〝序"、〝覇"、〝厩"と続いていく予定です。


 今さらですけど、なぜ故『SICK'S』なんですか? スペルは「病気」の意味。そこにアポストロフィー( ')とSが付いてる。


植田 これはですね、『ハンドク!!!』(’01年)というドラマを堤さんとやった時に、脚本家の大石静先生が「進化とは〝病"である」とおっしゃっていて。ちょうどいい進化で立ち止まればいいんだけど、エスカレートしていくと、それはもはや一つの病なんじゃないかと。それで最初は『HOLIC』というタイトルにしようと思ったんですけど、他に作品があると聞きまして(『xxxHOLiC』)。


 ホリック=中毒。それもいいタイトルなのに。


植田 地上波の場合は「表記も違うし、いいでしょ」と情でどうにかなるところ、「いえ検索的にはダメですね」と、突然、ネット配信チームの中から、とある組織が登場してきて(笑)。検索してゴチャゴチャになるのはNGという、配信ならではの厳格なルールがあるそうです。


 言われてみれば、確かにそうか。


植田 前作までは『SPEC』の黎明期というか、超能力を持った人間が犯罪に手を染めたら…という物語だったところ、今回はその能力を人工的に作ろうとする、「進化という病に取り憑かれてしまった人間」の話をやりたいなということもあり、中毒=HOLICではなく、病気=SICKの方に。ある種TBSを離れて新たにスタートするドラマという意味も込めて『SICK'S』にしました。シックス=6チャンネルっていう名残りだけでも入れとくかと(笑)。


 (笑)。


――新コンビ、御厨静琉(みくりやしずる)と高座宏世(たかくらひろよ)を演じるのは、木村文乃さんと松田翔太さん。起用の理由は?


植田 文乃さんと松田くんというキャスティングは、堤さんの案です。『SPEC』の当麻(戸田恵梨香)、瀬文(加瀬亮)の物語は前作で完結したので、新しいコンビを作ろうと。


 文乃さんは、『神の舌を持つ男』(’16年)でご一緒して。コメディエンヌとしていい意味で彼女のイメージを崩せたと思うので、今回はミステリアスで、なおかつ恐い。別のキャラクターを作りたいと思って。翔太くんは…なんと言うか、外国の俳優と仕事してるみたいな感じがするんですよ。醸し出す空気が違う。そんな彼に生々しい役を演じてほしいなと思いました。


――竜雷太さんが演じるのは、おなじみ野々村係長。『劇場版SPEC~?結~漸ノ篇』で殉職したため、今回は双子の弟という設定です。


植田 「双子の弟が保谷に住んでる」というセリフを堤さんがアドリブで言わせてたので助かりました(笑)。


 (笑) 出ていただかないと困っちゃうんですよね。締まらないから。


――竜さんは、刑事ドラマの傑作『太陽にほえろ!』で「ゴリさん」役を。


 『ケイゾク』では、ゴリさんの由来を説明したり。そんな遊びも。


――中谷美紀さん演じる主人公の柴田純が、その『太陽~』で翔太さんの父、故・松田優作さんが演じた役名と同じだと知っているオールドファンは涙ものの共演です!


 最初は特に意識していなかったんですが、竜さんがリハーサルでぼそっと「(『太陽~』の舞台となった)七曲署だ」って。そこで、これはヤバイなって。


植田 歴史を超えた出会いですよ。


 レッド・ツェッペリンの再結成でジョン・ボーナムの息子がドラムを叩く的な! これ読んでる人にはワケ分かんないと思いますが(笑)。


植田 (笑) そういう意味でもね、『SICK'S』は『ケイゾク』から続く集大成になりましたね。


 それもあって、とにかくスケールがデカいです。スペックホルダー一つとっても百花繚乱、ものすごいことになってますし。その分、CGもハンパないし。エンディングを想起させるようなスペクタクルなシーンをド頭に持ってきたんで、後はそこに向かって走り続けるだけ。最初は配信について手探りなところもあったけど、もはや全然、ビビッてないですから!(笑)


植田 ビビるのは、(予算面などを管理する)ラインプロデューサーの顔色くらい(笑)。


――では、VVMの読者にメッセージをお願いします!


植田 僕、上京して初めて行ったお店がVVで。〝趣味全開!"と言いますか。その孤高の雰囲気に憧れていたんですね。その時と同じような感覚を、先日の『オールスター感謝祭』でも感じまして。まっとうな顔してるドラマのお歴々の皆様の中に、まるでVVの店構えのような『SICK'S』チームが堂々と座ってる(笑)。その姿を見ていてカッコいいなと。


 周りのチームが「あそこは何なんだ!?」と(笑)。


植田 どこかVVにも通じる。同じく『SICK'S』も、今の地上波であればちょっと眉をひそめられるような表現や、昔のテレビのやんちゃさ。いい意味での行儀の悪さがありますのでぜひご覧になっていただきたいです。


 そうですね。今まで作った作品の中で一番振り切った作品になっていますし。配信ということで、地上波では自主規制していることにも思い切って挑戦し、表現で面白いことはとことんやろうと追及している。逃げずにブレずに攻めてますんで、皆さんもぜひぜひ「共犯者」になって下さい!


植田 あと最後に一つだけ! ウチの子どもたちがVVド真ん中の世代なんですが、VVさんと仕事をすると伝えたら「マジ? カッケー!!」と。いつも「磯山(晶)さんみたいなカッコいいドラマを作りなよ」と言われていた子どもたちに初めて尊敬されました。どうもありがとうございます!(笑)

『SPECサーガ完結篇「SICK'S 恕乃抄」

~内閣情報調査室特務事項専従係事件簿~』

動画配信サービス「Paravi」にて独占配信中!

https://www.paravi.jp/

『SICK’S』を見るならこちら!


記事元

こちらの記事は、ヴィレッジヴァンガード公式フリーペーパー「VVMagazine vol.46」で読む事が出来ます。

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