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2019.01.24

高嶋政宏ニイサンのエッセイ『変態紳士』

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表紙からしてもうヤバイ…。ああ、やべえ本が出ちまった…。

なんか最近、髙嶋兄(こと髙嶋政宏さん)がヘンだ! KISSやプログレへの愛を周囲に引かれても構わず訴え続け、最近ではついにお茶の間にSMトークを放出し始めてしまった。二枚目かつ正統派俳優であることをかなぐり捨てたかのような彼のエッセイ、その名も『変態紳士』が、芸能界や出版業界の人間の間で話題になっている。

まずはこの表紙を見てほしい! ピシッとなでつけた髪にヒゲ面、そして裸に首輪がムワ?と匂い立つ。Amazonの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」に「実話BUNKA超タブー」「吉田豪」などの単語が並んでいることもあわせて、この本がただごとでないことが伝わってくるはずだ。

 と、そこでクリックして購入せず、新宿のディスクユニオンへ直行。なぜなら、同書をディスクユニオ「1日変態店長イベント」なるサイン会が開催されたからだ。現場に乗り込むと、群衆の中には、髙嶋兄が激プッシュ中のバンド、金属恵比須の髙木氏&稲益氏も!

 髙嶋兄の左手にはKISSのロゴが刻まれた哺乳瓶(中身はお茶)、右手にはムチ、前から見ると普通の白シャツなのに、バックにはアルバム『クリムゾン・キングの宮殿』の顔がプリントされたシャツ、足元にはポール・スタンレー(KISSのメンバー)モデルのスニーカーまで。胸には「変態店長」のネームが入ったIDカード。そして、お隣には乳首をばんそうこうでギリギリ隠したM女のウランさん…ツッコミ切れないほどの度が過ぎたサービスにめまいがしそうだ。

「SMのSはサービスのSですからね。普及活動というか、自分では勝手に広報をしているつもりです」と同書で話す髙嶋兄の暑苦しいまでの情熱が、語らずともあふれまくっていた。

「最初はビシッとしたスーツ姿で表紙を撮ろうという話だったんですけど、首輪がいいんじゃないかって僕が提案して。この首輪は歌舞伎町のSMバーで借りてきたものなので、M女やM男の血と汗と体液が…」力強い声で、ゆったりと語る髙嶋兄。近年SMにハマっており、楽屋で老若男女問わず、共演俳優たちにSMの広報活動をしているのだという。お子様も目にするこのVVマガジンでは書けないヤバイ話ばかりなので、詳しくは本書を手に取っていただくしかないのだが、こうした一連のどうかしている行動は、決して二枚目がただキャラ作りでやっているのではない。それは、頼まれてもいないのに1993年発売のシングル『こわれるくらい抱きしめたい』シングルB面に『スターレス』(偏愛するバンド、キング・クリムゾンの楽曲)を入れたという同氏のやりすぎエピソードにも近しいものを感じる…。髙嶋兄がこんなふうにふっきれるまでの過程を「そんなことまで書かなくても…!」と思うほど丁寧に、ねっとりとまとめあげたのがこの1冊。

その磁力は遠くイギリスまで及んだらしく、ロンドンに住む人から「髙嶋兄がなんかすごい本出したらし」と連絡が届いたほどだ。

 さて早速ページを開いてみよう。

ここには、2000年から始まった舞台『エリザベート』を経て、変態道への扉を開けてしまった髙嶋兄の歴史が描かれている。「誰も見ていないんだったら、カッコつける必要もない。もういろいろ好きにさせてもらおうと、一気にフッ切れました。とにかく、自分が面白いと思うことは全部やってやると――。」KISSメイクをした姿がワイドショーで放映されたあたりから「おや?」というムードがが漂い始めた髙嶋兄だが、21世紀の幕開けは、彼の変態道の扉が開いた時期とちょうど重なっていた。

 ということで第1章はいきなり「遅すぎたSMとの出会い」。映画の役作りでSMショーを見に行ったとき「体中の細胞がさけび、『これだ、これなんだ!』と震えがくるほど、ビシッとハマったんですよ」と語る髙嶋兄。

小4で筒井康隆の小説を読みふけり、耽美&エログロの世界へたどり着いたあと、ロックバンドのKISS、そしてついに運命のバンド、キング・クリムゾンに出会う。続いて中・高時代の恋愛模様や初体験まで惜しみなく披露、ここで爽やか路線にいくかと思えば、第4章ではまた容赦なくアングラ街道!そしてプログレ!!とたたみかけてくる。息継ぎする暇は、いっさいなし!そして唐突に次章ではグルメ話だ。超・実用的なパスタの詳細レシピ(食材のグラム数まで書いてある)まで織り込まれ、

「サービスのS」が存分に発揮される。そんな中にも随所随所に妻・シルビアさんへの思いが挟まれるという構造だ。

 こんな濃すぎる1冊にもかかわらず、読み終えたあとに胸を満たすのは、意外にも髙嶋兄のカワイさ、そして「自分も好きなように生きていこう!」という強い思いだった。全体に散りばめられた、無理を手放す思想は、禅のようにも思える。好きなものに出会ってしまった人は、強い。表紙の髙嶋兄の姿が、そう確信させてくれる。

 VVマガジンをお読みのみなさんも、いろんな「好き」を持っていたり、新たな「好き」を求めていたりするハズ!

そんなヴィレヴァンユーザーのみなさんに向けて、髙嶋兄からアドバイスをいただいた。好きなものに出会う=自分のフェチに辿り付くには、実験していくしかないんでしょーか?


大事なのは、興味を持ったところには全部行ってみる、ってことですね。『これは好きにならなきゃいけないんだ』っていう気持ちは必要ないんです。興奮するものにはするし、しなかったらしないわけですから。ていうものをずっと探っていくと、本当に理由も何もない、『これだ!これなんだ!』っていうものに出会う。そしたらもう、一人じゃなくなりますから。だ・か・ら、

一人で行ったほうがいいんですよ! 誰か行くと、『全然面白くなかったじゃん』なんて言われ

て、これって面白くないんだ、わたしは面白かったんだけどな、みたいなことになりますから」



 SMバーでもレストランでも同じく、自分のフェチや目の前の食材に一人で向き合うことを大切にしているという髙嶋兄。「変態をさらしてからというもの、僕は生きていくのがずいぶんとラクになりました」…このメッセージが、きっとヴィレヴァンファンの心も解放してくれるハズ!



髙嶋政宏『変態紳士』

(ぶんか社)10月10日より発売中

本体1389円+税

記事元

こちらの記事は、ヴィレッジヴァンガード公式フリーペーパーVVMagazine vol.53で読む事が出来ます。

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