恐る恐る中を開けてみると、

「おいしい　ゴルゴサーディン　

展開よろしく　したい」

なるほど、そういう事か。

各メディアで話題の「ゴルゴサーディン」の

商品取り扱い依頼という事か・・・。

本来、こういった依頼は受け付けていないが

見れば見るほどヴィレヴァンに

マッチしそうな商品である。

おそらく、商品バイヤーに提案すれば

一瞬で取り扱いしてしまうだろう。

返答に躊躇していると

次の日、謎のケースが届いた。

特製の化粧箱・・・。

こだわりが凄い。

こだわりすぎじゃないか・・・。

だが、ヴィレヴァン店頭に並べるに値するか

この目で、この舌で確かめるまでは

取り扱いを許可するわけにはいかない。

商品名の「ゴルゴサーディン」に因んで

スナイパーと同じシチュエーションで

味の確認を試みる事にした。

とあるビルの屋上階、

長距離射撃を想定して食べてみる事にした。

誰にも気づかれないように缶を開き、

狙い食う！

美味い・・・。

油もサラッとしていて食べやすい。

長距離狙撃を想定して食べるのに

向いていると言わざるを得ない。

続いて人もまばらな植え込みの影に潜み、

中距離射撃を想定して

狙い食う！

香りが良い・・・。

魚特有の臭みも無く、食欲をそそる。

予想を上回る狙い食いポテンシャルである。

ただ、本当に真価を問われるのは

とっさの判断力である。

往来の激しい駐車場に潜み、

最も危険とされる近距離射撃を想定して

狙い食う！

やはり、かなりの難易度を

必要とされる。

時間が無い・・・。

覚悟を決めて、

いざ・・・！

一気に食べてしまいそうになる。

早く家に帰って晩酌したい・・・。

その時！！

一瞬の気の緩みを

相手も見逃さないという訳か。

明らかに狙い食われしそうになり、

とっさに身を伏せて応戦する。

ふふっ、相手もこいつを食いたいって。

やはりこの商品、売れる・・・。

疑心が確信に変わった。

「早く会社に戻り、

商品展開の指示をしなければ。」

そう心に刻み、私はその場を後にした。

※撮影はビル所有者の許可を得て

撮影しております。

※本記事はあくまでフィクションです。

ご家庭やお店など落ち着いた環境で

ご賞味ください。